朱川湊人『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』第2話「ひとりの楽園」(『ジャーロ』2007. SUMMER)
『ウルトラマンメビウス』小説第二話。
今回は氏が脚本を手がけた「ひとりの楽園」の完全版とも言うべきものになっています。
あの時少し物足りなかったオチが、見事に膨らんで面白くなってます。
以下感想。
ミライがメビウスだと知り、彼を避けるようになったカナタ。しかしミライと街に出かける事になり……。
カナタがソリチュラとの戦いを経て、ミライとGUYSクルーを少しずつ認めたエピソード。
夫を失い、記憶をなくしたカナタの母親とソリチュラに心を侵食されていく部分を重ね合わせたのは面白かった。
しかし、カナタが「よく言った!」とか言い出した時にはつい「何様だ!」と言いたくなってしまった(笑)。
自分は防衛隊員として専門の訓練を受けている、と言うある種の傲慢さとありとあらゆる宇宙人、さらには自分以外の全ての他人への除外と軽視へと繋がっているカナタ。
確かに「自分が自分で在る」と言う一点においては非常に『メビウス』的なキャラでもあるのに、どうしてもあまりいい印象を持てないのは何故か……?
……人徳(ヲイ)?
カナタはしかし物事きちんと再評価できる視点を持っているので実質相殺なんですが。
大学とGUYSを兼任しているテッペイのソリチュラへの調査、コノミの都市伝説の関心からのアプローチ。ガンウィンガーなどのメカの操縦と、防衛隊出身のカナタでも苦しいものを素早く的確にこなしていくGUYSクルーの姿が改めて確認できました。
今回はミライとカナタの交流がメインでしたが、ミライの天然っぷりには大爆笑。
「電車に乗ったら東京から仙台に」(リュウから「小学生か!」とツッコミ)。
「メロンパンにほんとにメロンが入ってるのかな?」発言(おそらくミライはマジ)。
何故か七千円(全財産?)。
など、拾い上げればキリがない程。
いやぁ、さすがはミライ。
また小ネタも豊富で、昔のウルトラ作品から相当とってきてます。そういうのも見つけていくのも、面白いと思います。