『ロミオ×ジュリエット』第8幕「甘え〜正義とは〜」

 ロミオと想いを交し合うジュリエット。しかし彼女はその想いを断ち切るために、家督を継ぐ事を決意する。しかしティボルトはランスロット憲兵に売った神父を使い、その覚悟を試すのだった。



 リアルで叫んでしまった。
ロミオ下見ちゃ駄目ーッ!!!
 あと他には、
ロミオそのハンカチ出しちゃ駄目ーッ!!!
 ジュリエットはその腕の中から離れていき、ハーマイオニとの関係を断ち切るのは彼女がいい子なだけに辛く、ペンヴォーリオを暗殺しようとした父の非道を知り、そしてアテも無く夜の町を彷徨うロミオを見てしまったのがジュリエットとティボルトが抱き合う姿……!
 今回はジュリエット側に重心が向いたエピソードであったにも関わらず、ついロミオ側に感情移入してしまった。
 自分も男か……。ってどんな納得の仕方だ。
 とかく理想と現実の狭間で悩むロミオの苦難の、ある意味で本当の始まりと言えます。
 家がどうであれ自分の想いは変わらない、と言った矢先、その想いを阻むものが後から後から現れる……。
 是非それらの障害に負けず、想いを遂げて欲しいものである。
 


 そしてジュリエット側のドラマ。
 女神の愛を持って市民を救うはずの神父がはした金欲しさにランスロットを売ったように、ジュリエットがモンタギューを打ち倒すためのお題目でありロミオを諦める理由であった「守るべき弱い市民」の現実をティボルトに見せ付けられる。
 例え父の形見であり家を背負っても、ジュリエットは「殺す」事はできない。
 手っ取り早く家や市民に頼る事が甘えであり、しかしどれほど唾棄すべき行為であっても生きるためと言われれば、それを一方的に断罪する事は正義なのか。
 次回ではついにキャピュレット家がモンタギューに宣戦布告のような気配を見せ始め、全体の三分の一を終えてジュリエットの行く末が心配な事この上ないところです。



 さて、今回もメイン二人以外にもサブキャラ達が魅力的。
 特に光っていたのは、家を継ぐジュリエットの姿を見るコンラッドの狂喜の表情でしょう。
 普段は厳しくも愛情深いお目付け役の、モンタギューにも勝るとも劣らぬ邪悪な笑顔。いやはやまったく、とても直視する事ができない忠臣の裏の顔でした。