久正人『ジャバウォッキー(2)』
- 作者: 久正人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/05/23
- メディア: コミック
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今回は、一巻から続いたガリレオ編の完結編と、毛沢東編。
地動説を支持したガリレオが弾劾され、地動説を提唱した肝心のコペルニクスはそうされなかったのか――。
それはガリレオが実は恐竜であり、人間(教会)から弾圧されたせいである、とした設定からして魅力的。
一度種族としての「大絶滅」を経験しているだけに、その恐怖からありとあらゆる科学のジャンルを発達させてきたと言う設定が痛々しくも素晴らしい。
そんなガリレオの子孫達が高周波兵器を手に入れ、先祖を弾圧した人間たちに復讐を開始する。そしてその舞台は、あのガリレオが球体を落下させた実験で有名なピサの斜塔!
そんな魅力的な舞台装置の上で繰り広げられるのは、サバタとリリーの初任務。
自分の事を「捨て駒」呼ばわりするサバタを決して見捨てる事無く、何度だって助け続ける。
冷血動物だと思われがちの恐竜(実は温血動物)の知識を見事にひくりかえした燃える展開。
異種同士の恋愛は自分、大好物ですんで、そういう意味でも燃え燃えです(笑)。
そして毛沢東編。
中国と言えば「龍の国」ですが、何と中国は恐竜によって支配された国! あの西太后も恐竜(素顔は仮面!)!
そして彼らが送り込んだ暗殺者達の標的は、まだ赤ん坊の毛沢東!
後世、彼が行った事とその結果を考えると正直暗殺させた方が良かった、と言う意見があるのかも知れませんが、それははるか未来の話。
今この時子どもを守れないで何が「希望」だと言ってのけるサバタが熱い!
しかし敵は、滑空する恐竜ミクロラプトル。
しかも相手は女で、自分の子どもの進化を止めて暗殺用の生物として育てる非道を行う母親。
リリーのトラウマを十二分に刺激する相手だと言う事が判明したところで次巻に続く!
人類以前に栄華を誇った異種生物と現生人類の夢の共演。いつになっても恐竜は人間の想像力を刺激する最高の隣人だと言う事を強く理解できます。