『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』第八話「五月雨にクチナシは香りを放ち…(後編)」

 死体を発見してしまい、警察へ連行される凱。彼は亜璃紗を前に自分の推理を語り始める。一方、契約者を追い詰める黒だったが……。



 猫達、憑依系契約者達の悲哀と亜璃紗のやりきれない心情を重ねて描いた秀逸なエピソード。
 前回を観た時には確信犯的な「テコ入れ」に笑いましたが、今回はいつものやりきれないような結末の中にも、どこかコミカルで強かなものを感じました。



「匂い」に執着した亜璃紗の元夫。しかし彼が本当に必要として求めたのは前妻の体臭だった。
 亜璃紗には香水をつけさせていたのに……。いくら前妻を放置して死臭をまとわせたとしても、それは本当の意味で欲しかったのものが手に入った事にはならない
 一方、契約者はすでに自身の体を失い、相棒の体に表意して生き続けている身。対価と思われていた「臭いを嗅ぐ」事も、実は自分の靴下=唯一の自分の存在の残滓を確認していただけだった。
 本来の体を失ったその時に、契約の対価を支払う必要は無くなってしまったのだから……。



「本当に欲しいものは手に入らない」。
 自分を喪失した、猫を含めた三人の孤独を描きながらも、最後には力強く喰えない態度でウインクしてみせる、猫の強さが光ったエピソードでした。



 今回のエピソードのように、コメディ色が強いエピソードには色々意見も多そうですが、個人的には大歓迎。是非以降も凱達をセミレギュラー化して今回のような話を作ってもらいたいものです。
   


 次回は未咲の過去話?