岩佐まもる『コードギアス 反逆のルルーシュ STAGE-0- ENTRANCE』

 読書マラソン3・三十六冊目。
コードギアス 反逆のルルーシュ』のノベライズ。
 本編そのもののノベライズではなく、ルルーシュとスザク、ナナリーら三人の幼少時代を書いたものです。
 以下ネタバレ感想。



 ストーリーのメインはルルーシュ、スザク、ナナリーら三人ですが、むしろ真のメインはスザクの父親であるゲンブ。
 桐原などの一部の古くからの権力者によって、総理大臣ですら管理され支配されるその現実に大いに不満を持ち、そのためマスコミを通じて世論を煽り、軍事的緊張を加速させるなど、様々な手を使ってブリタニアとの開戦ムードを高め、日本をブリタニアに売り渡したのは他でもない彼自身と言う驚愕の事実が明らかになりました。



 本編ではスザクの過去のトラウマとなった事だけが明らかで、それなりに高潔な人物像を想像していたのですが、それだけにこの裏切りは衝撃的。
 ある意味では『コードギアス 反逆のゲンブ』と言い換えても何らおかしくないものでした。
 それだけに、本編でのスザクの追い込まれっぷりが哀れでさえもあり……。子どもだったスザクはゲンブの思惑を完全に理解しきれず、それ故に父殺しの罪悪が深く残っています。
 そしてそれを、ある意味で桐原が加速させた面も……。ルルーシュの時と言い、こいつはホントに少年を修羅道に落とすのが大好きだな!



 と、大人達の陰謀が渦巻く中で、だからこそルルーシュ達の不自由な中での幸せがより強調されています。アニメ本編では無力なナナリーですが、いずれは表舞台に登場するのでしょうか。



 ちなみに、この小説であのブリタニア皇帝の本名も発覚(意外と可愛い?)! ルルーシュ役の福山潤氏の解説もついて、非常にお得な一冊でした。