ジョナサン・キャロル『蜂の巣にキス』

 読書マラソン2・六十一冊目。
 以下感想。
 作家である主人公にして語り手である「ぼく」がスランプ脱出のための望みをかけたのは、「ぼく」が死体を発見した美少女の事件を書くという事。その事件を調べていくうちに、男女の関係でもつれ、父娘の関係でもつれ、過去の友人ともつれ、何より自分自身にもつれ、とにかくキャラクター達がもつれてからまっていきます。
 その原因は、人間の性格認知の差、なのでしょう。「ぼく」にとっては恐ろしい女でも、娘から見れば魅力的な女性だったりするこの認知の不一致。彼女の事件の真相は、あえて真実とは違う結末を望んで見ようとしたけれどそれも叶わなかった、小さな失望で終わるそんな一冊でした。