ジェシー・ハンター『よい子はみんな天国へ』

 読書マラソン七十五冊目。

よい子はみんな天国へ (創元推理文庫)

よい子はみんな天国へ (創元推理文庫)

 以下ネタバレ有り感想。
 クリスマスも間近なある日、男の子だけを誘拐して殺害する通り魔チョコレートマンが誘拐した男の子は、実はエミリーと言う女の子だった。刑事エドマーシーはこれまでの誘拐のパターンからチョコレートマンを追う。その一方で、エミリーの母ローリーもエミリーを救うために行動を開始する……。と、そんな感じのエピソード。
 エミリーが誘拐されてからラストまでの二日間を分刻みで追うストーリーは、読んでいてもどきどきする緊迫感があります。それだけに、最後の方がちょっと長くしすぎる印象を受けたのは個人的に残念。後、それっきりのキャラクターが多いのも気になったり。まぁ、あれはストーリーに必要なもんなんですが。
 一番の魅力は、自分ではどうしようも無い事態に個々人がどう対処しようとしているか、だと思います。
 犯人であるチョコレートマンは自分のミスからトラウマを触発され普段のパターン通りに犯罪を行えない。エミリーはチョコレートマンを注視し、理解しようとする事で最後のチョコレートマン逮捕に重大な役割を果たし、ローリーは娘を助けるためにひたすらチャンスをうかがいます。特に刑事組の、手続き上の事で犯人を見逃すハメになってしまったり度オロ封鎖がしっかりしていなくてみすみす逃がしたりと、現実にありそうな事で次々と犯人を逃している事に感情移入してしまいます。
 面白いサスペンスですが、クリスマスに読むには不適切な一冊でした(笑)。