クリス・ウッディング『魔物を狩る少年』

 読書マラソン三十五冊目。

魔物を狩る少年 (創元推理文庫)

魔物を狩る少年 (創元推理文庫)

 表紙で衝動買いした一冊。いいよねいいよね、黒服の少年と白いドレスの美少女ってイイヨネ! といかにも頭の悪い脳内議会で購入決定した事を今でも様々と思い出せます(思いだせんでよろしい)。
 詳しいストーリーは公式ページを見てもらえるといいんですが、ウィッチハンター(魔女狩りじゃなくて魔物狩りの方)の主人公が記憶を失くしたヒロインを保護した所で、秘密結社の陰謀に巻き込まれる……と言ったベタすぎるほどベタなストーリー。文章も巧いし、本来の歴史からちょっとズレた感じの世界観も好感触。ハンターである主人公達が、魔物に対して圧倒的な優位を誇ってないのもよかったです。ヘルシングとか女神転生シリーズみたいに、魔物・人間の間に共通した攻撃パターンが通用しないのがいかにもハンティングっぽい所とか。
 でも、逆に言うとスピード感がいまいちなので、そういうのが好きな人にはオススメできないかもしれません。「シィィィィィッ!!!」とか言いながらアンデルセン神父が銃剣両手に大虐殺とか、「お祈りはすませたか?(以下略)」とウォルター執事がワイヤー張り巡らせて圧倒的実力差を見せつけたりはしないので。
 後、ラスボスっていうか秘密結社が信奉している邪神が、妙にクトゥルーっぽかったです。全体的にどっかジャパニメーションっぽさを漂わせているように感じたのですが、著者は『天空のエスカフローネ』とか『風の谷のナウシカ』とかが好きだそうです。あ、何か納得。