山本弘『MM9』
- 作者: 山本弘
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/06/25
- メディア: 文庫
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以下感想。
地震、台風などと同じく、自然災害の一種として怪獣災害が存在する現代。怪獣大国の日本、気象庁内に設立された怪獣対策のスペシャリスト集団、特異生物対策部(略して気特隊)の活躍を描いた一冊。
明らかに物理法則に反する怪獣が、どうして存在しえるのか。
どうして現代と同じような文化が存在しているのか。
などの問いにストレートに答えた、SF+怪獣小説。何よりもまず、劇中の怪獣に対する解釈が面白い。サイズで怪獣災害の単位MM(=モンスター・マグニチュード)が決まる、と言う設定から始まって、徹底的に怪獣のサイズや能力、おまけにタイムスケールの差にまで踏み込んでいるのが凄い。
この手の怪獣を設定する時に、日本人は細かすぎるくらい細かいらしいが、それが愛のレベルまで高まっている。劇中で登場する様々な怪獣や怪獣事件が、様々な作品からもオマージュになっているのも心憎い。
そんな本作で、一番インパクトのある怪獣は、やっぱりヒメだろう。何とこの怪獣、外見が一〇歳前後の女の子! 通常の女の子の一〇倍サイズで、当然素っ裸(笑)。設定的に、某光の国からやって来た宇宙人のオマージュ的存在なんだろうけれど、それを「こう」持ってくる所が、山本弘の凄い所。
ウルトラマンだとデウス・エクス・マキナなのが、こっちの作品だと、何だか「人間最後に頼る存在はお母さん」的な風にも解釈出来て個人的には面白かった。ドラマでは登場しないと言う事なので(まあ、そりゃそうだ)、ヒメの活躍が読めるのは小説だけ!
ドラマは時間的に視聴不可能なので、DVD待ちかな?
webで続編が連載されているようなので、こちらも読んでおこう。