夢枕獏『陰陽師 夜光杯の巻』

陰陽師 夜光杯ノ巻 (文春文庫)

陰陽師 夜光杯ノ巻 (文春文庫)

陰陽師』シリーズ「夜光杯の巻」。
 今回も、やっぱり博雅がとみに可愛い一冊。
 朴念仁な博雅が、知らぬ間に袖にした「ある女性」との顛末を描いた「月琴姫」など、相変わらず博雅が愛おしい一冊。
 そんな博雅が晴明に、

 この世に、おまえがいてよかったと、おれはしみじみと今、そう思っているのだよ、晴明――

 などと言ったものだから、あの晴明、不意をつかれて「馬鹿……」としか答えられない。晴明、乙女じゃねーか(笑)。
 いやもう、ほんと読めば読むほど、博雅が可愛い。ほんと、可愛い。