エドワード・ゴーリー 柴田元幸訳『うろんな客』

うろんな客

うろんな客

 独自の世界観と、素晴らしい訳で胸を一杯にしてくれる一冊。
 以下感想。

うろんな客とは

 カギ鼻頭の変な奴。これがある一家の元に現れ、いつの間にやら家に住み着いていた。これが「うろんな客」。
 これが好き勝手する客で、本を破る、遠慮無く食べる、扉の前に陰気に寝そべり通行妨害する、物を池に投げる事が「保護」する事だったりと、もうほんとに好き勝手放題やる。
 普通家人は怒るところだが、家人は怒るどころかなぜか受け入れ、そうこうしている内に一七年も経っていましたとさ、と言うのがこの絵本のストーリーだ。
 解説ではこの「うろんな客」が「子ども」だとしていた。なるほど、家に現れ好き勝手やっていて、家人はそれを受け入れていると言うのは、確かに「子ども」っぽい。
 むしろここで、「ペット」だと思った自分は、まだまだ人生経験浅いと言う事か。

 日本語訳では、韻を踏んだ英文を五七五調の文章に訳している。この見事な訳し方が、文系畑出身の自分としては感嘆するしかないわけで……。英文と日本語訳、二種類味わえる自分はなんてお得なのかと思うのだった。