椎名高志『絶対可憐チルドレン(11)』

絶対可憐チルドレン (11) (少年サンデーコミックス)

絶対可憐チルドレン (11) (少年サンデーコミックス)

「あにおう」その一一。元に戻そうとしてみたけれど、ここまで来たらもう何がなにやら分からない……。
 第一一巻には「面影」「黒い幽霊」が収録。
 以下感想。

「面影」

 ついに来た! 皆本のコメリカ時代の彼女との過去を描いたエピソード。エスパー・キャロラインの中に発言したもう一つの人格・キャリーがその正体。
 まるで子守りをするために生まれてきたような男(笑)皆本の育成っぷりはこんなところでも発揮されていたわけで。
 しかし彼女を愛してはいたものの、キャリーはいずれキャロラインの人格と統合される運命にあった。キャロラインとキャリーが別人格である以上、キャロラインの人生を考えないわけにはいかない。これが「スキャンダルの館」の時の「愛していたけど、だから別れた」の真相だった。
 皆本には、蕾見管理官がどんどん推進している「デキちゃえ」計画の本質である、「君さえいれば何もいらない」と言う言葉を言えるかどうか、そんな疑問を呈された。

「黒い幽霊」

 このサブタイトルにはルビに「ブラック・ファントム」とふってある。どこの黒い幽霊団? と思わないでもないネーミングなので、狙っているのかも知れない。
 さてそんな黒い幽霊は、ノーマルの犯罪組織。しかしエスパーを洗脳し、暗殺者に仕立て上げるという兵部曰く「普通人の黒い意思」。洗脳されているエスパーを解放する、それが出来なければ殺す、と言う本物の汚れ仕事をチルドレンに代わり請け負う兵部。しかし薫は、本人に秘められた「エスパーを守ろうとする力」により、兵部の下へ向かってしまう。
 ココにきて、なんとバベルとパンドラ両者共通の敵となりうる存在が登場。皆本、兵部がノーマルとエスパーの枠を越え、協力し合うというフラグだったりするのか?
 書き下ろしは、どこまでもニブい皆本の肖像。まぁ、これが皆本だよ、うんw