#20「変革の刃」

 何者かの手により与えられた三〇機の擬似太陽炉とそれを搭載するMSを手に入れたユニオン、AEU、人革連の三大国。軍事同盟を結び、国連管理下の国連軍として対ガンダム共同戦線を展開する事となる。
 ようやく作戦の第一段階が達成されたとは言え、それがトリニティによって為された事に複雑な面持ちで推移を見守る刹那達。
 そんな中、介入行動に入ったトリニティを迎え撃ったのは太陽炉を搭載した量産型ガンダムとも言えるMS部隊だった――。




 紛争根絶と言うソレスタルビーイングの理念を体現したガンダム。そして計画を遂行する量子コンピューター・ヴェーダ。その理念を歪んだ世界に実現させるための計画に、しかし、それ自体に介入する者達。捩れた計画に乗せられる人々。計画をものともせず強かに生きる者。そして翻弄され、計画から零れ落ちていく者達を描いたのが今回のエピソード。
 今回はいつも以上に無駄に長ったらしいので省略。って言うか、今更だ……ッ!
 以下感想。



 介入する者は、アレハンドロ。元々、コーナー家自体がソレスタルビーイングの計画への介入を悲願としていたらしい。しかし圧倒的なヴェーダの力を前に、手も足も出なかった。しかし、アレハンドロが「拾った」リボンズにより状況は変化する。
 擬似太陽炉は世界中にばら撒かれ、その上アレハンドロはヴェーダを手中に収めんとする。
 アレハンドロの悲願は、自身が圧倒的な権力を手にする事、なのだろうか。紛争を根絶するために世界を一つにしようとするソレスタルビーイングの計画に介入し、国連管理下に各国の軍備を統一して、それを自分が操る。そしてヴェーダも手に入れて、支配は完璧! と言う筋書きか。
 しかしそれも、どうやらリボンズの掌で転がされた結果であるのは明白だ。「拾われた」とはリボンズの談だが、実際には「拾わせた」と言うのが正しいのかも知れない。
 そんなリボンズの目的は、果たして何なのか――。アレハンドロの計画に便乗しての漁夫の利か、はたまた別の何かか。それを推理するのに重要なヒントを握っているのは、やはり王留美にある、と思う。
 彼女は「世界を憎む」が故に、より変革を促す側に味方している。トリニティに肩入れするのにもそれが理由だろう。リボンズもその根底に、世界そのものへの憎悪があるキャラクターなのかも知れない。
「変わらないなら壊してしまえ」とばかりに、より効率の良い世界の破壊を目的とするのがリボンズであるのかも知れない。今の段階では、まぁ、妄想でしかないが。




 アレハンドロとリボンズが書いた筋書きに乗せられた世界。擬似太陽炉搭載の量産型ガンダムを手にした三大国は、これまで煮え湯を飲まされてきたエースパイロット達がここぞとばかりに気炎を上げる。
 人革連のセルゲイとソーマは、特にガンダムに肉薄した存在なので、今回の活躍にこれまでの溜飲が下がった。セルゲイとソーマの実力を十二分に活かす機体を前に、トリニティ三兄弟とスローネも撤退せざるを得ない。
 だがここで楽しみなのが、次回のコーラサワーの活躍だ。カティ大佐に「こいつをパイロットにするのはどうよ?」的に悩んでいたところに、薔薇の花束持ってお食事のお誘いにやって来たコーラサワー! お、お前は馬鹿かwwwwwww
「世界の情勢を考えているのか?」と言う問いにも笑顔で即答。「はい、無いです!」もう、この子ってばwwwww
 そんなコーラサワーを、しかし「放っておけん男だ」と食事の誘いに答えるカティ大佐に目をむいて吃驚。ちょ、え、カティ大佐……ッッ!?
 こんな男を本当に女性は放っておけないのか……? 誰か一度、アンケートして下さい(何)。




 計画が世界を変えていく中、サーシェスだけは一人飄々と、ラグナから量産型ガンダムを手に入れようとする。おまけに、絹江にGNドライヴの存在から、刹那達に対して、今まで自分がやっていた悪事を暴露した挙句、絹江を殺害してしまう。静かに抑えた演技から、狂気を孕んだ口調まで、藤原啓治氏の演技力が光る。
 GN粒子が細胞を冒すため、再生治療が出来ず左腕を無くしたままのルイスと、沙慈に立て続けて苦難が襲う。
 一方で、グラハムもあくまでフラッグにこだわり、量産型ガンダムへの乗り換えは拒否。少しずつ、グラハムも計画の外側に押し出されていくが……。性能差をものともせず、是非阿修羅すら凌駕して頑張って欲しいところだ。




 ガンダムに対して反撃ののろしを上げる世界。刹那達もGNアームズを用意して対策に備える。次回はコーラサワーガンダム!? 逆転なるか、はたまた!? と、そんな意味で気になる(ぇー)。