『獣拳戦隊ゲキレンジャー』修行その48「サバサバ!いざ拳断」

 諸悪の根源・ロンは倒れた。スクラッチに身を寄せる理央とメレだったが、ランとレツは二人を受け入れる事ができない。これまで臨獣殿が多くの人々の悲鳴と絶望を糧にしていたと言う悪行は消える事ではないからだ。
 理央は裁く者、裁かれる者が命をかけて戦う拳断を提案する。ランとレツ、理央とメレの四人は拳断に臨むが、その最中、倒したはずのサンヨが現れた!




 いよいよ『ゲキレンジャー』もクライマックス前後編に。
 ラスト直前は、大逆転への布石の大ピンチ。そんな定石を捨て、メインキャラクター死亡と言う異常事態に突入。
 もうあれは、戻ってくるとかそんな生易しい最終回は期待できない。二人手を取り合って黄泉路へと向かった二人を呼び戻すなんて野暮は、神が赦しても自分が赦さん(何様だお前は?)。
 だからこそ次回予告の理央とメレの姿が気になるわけで……シリーズ構成の横手美智子さんが脚本なわけだから、当然素晴らしいものになるのは確信できる所だが。




 今回描かれるのは、臨獣殿の、ひいては理央とメレのつけるべきケジメ。
 すべてを奪い、陰謀を画策した諸悪の根源・ロンは七人の力で倒された。ジャンから見れば、それですべてが終わり。理央とメレと一緒に、それこそゴウが加入した時の様に、これからは七人でゲキレンジャー! と考えていたのかもしれない。
 しかし、ジャン加入以前から臨獣殿と戦い続けていたランとレツだからこそ理央とメレの戦いに納得がいかない。道を敷き、そこを歩かせたのはロンであっても、悪を為したのは理央達本人なのだから。
「クライマックスでそれか!」と思う人がいるかもしれない。ランとレツよりも人気があるのは理央とランの二人。今更前者二名が裁きだ正しいのかと悩んでも、今更言うだけ野暮と見られるかも知れない。
 だが、あくまで「他人を傷つける事は悪い! 悪い事は悪い!」とはっきり言おうとする姿勢には脱帽するしかない。
 他人を傷つける悪い事からは、悲しい事しか生まれない。それはジャン、理央に対するロンの一件ではっきり示されたのだから。




 そしてそれは理央も分かっている。ピカピカの自らの道を見出した理央にとって、過去を否定する事はこれから歩く未来を否定する事も同じ。
 だから、命を賭けた拳によって断じる拳断も受けて立った。
 その胸中にはすでに、臨獣殿の幕を自らの手で下ろす覚悟ができていた。そして、理央についていく事もメレにはできていた。

「強い者が弱い者をいじめちゃいけない」
「強い者はその強さを誰かに分けてあげなくちゃいけない」
「強さ以外にも、大切なものを持たなくちゃいけない」

 これまで、激獣拳が拠り所としてきた正義。それに殉じ、裁きを受け入れる事を決めていた二人。
 そうしてそれを実践するかのごとく、二人は行動した。
 メレは「カクシターズ」であるところのトライアングルを助けるために命を落とした。理央はすべてのリンギをトライアングルに託し、命を散らせた。
 そして散った二つの命は、激獣拳と臨獣拳の二つに分かれていた獣拳を、本当の獣拳の形に統一させる。
 最後の最後で、理央とメレは悪の美学ではなく正義のため散っていった。まさにサバサバしていた二人は、永遠に分かれる事は無いのだろう。
 さようなら、獣拳の、永遠の若夫婦。




 ゲキレンジャーの前に姿を見せたサンヨ。そしてロン! 曰く、サンヨはロンの不死身の部分。それを取り込み、真の姿、無間龍へと姿を変える。
「無限」=限りが無い事では無く、「無限」=無間地獄。間断のない苦しみに責め苛まれる地獄の名を冠した龍。永遠の時間を生きるロンの苦痛そのものを表したような名称。
 その上、デザインモチーフが龍+麒麟であり、まさに幻獣の頂点に立つに相応しいデザイン!
 ゲキトージャウルフ、サイダイオーを圧倒するパワー。にゅるにゅる伸びる首など、まさにラスボスの風格。
 理央の渾身のリンギを持ってしても、倒す事が叶わなかったロンを倒す方法は、やはり激臨合一による、純粋な獣拳としての力が鍵となっていくはず。
 ゲキチェンジャー+拳魔の腕輪を装備したジャンにはもう燃える事、燃える事!




 次回はついに『獣拳戦隊ゲキレンジャー』も最終回。実況役バエも独立し、ベランベランの実況の下(?)いよいよ最終決戦!