三雲岳斗『アスラクライン(8)真夏の夜のナイトメア』

 読書マラソン3・七十五冊目。
「真夏の夜」とは言いつつ、今は冬ですが(苦笑)。季節感無くてすみません。
 以下感想。
 夏休み、アルバイトのため海辺のペンションにやってきた智春達。しかしそこには、彼と嵩月をくっつけようとする樋口の陰謀が。さらにアスラクラインである加賀篝も同じ海辺に現れる。




 二巡目の世界の謎と、嵩月達悪魔の誕生の理由。そしてアスラ・マキーナの真実など、ストーリーの重要な部分がいよいよ明かされ始めました。
 膜宇宙の理論における並行世界と現実世界が接触し、一部が入れ替わってしまった。異なる物理法則が支配する世界で、元いた人間や電子機器は全滅してしまう。そして入れ替わった人間の子孫が悪魔。
 アスラ・マキーナは、その異なる物理法則が支配する世界を調査するために、人間を内蔵して動く有人探査機であった。
 そして、一巡目の世界が二巡目の世界へ移行した際、重要な選択肢をする事になったのが智春や操緒であったらしい。彼らの名前は張弦理論と大きく関係のある名前であり、さらに彼らのアスラ・マキーナ《障テ鐵》は別の世界を往来する重力子を操るアスラ・マキーナである、と。
 そんな智春に今巻では大きな転機が。
 それは、彼と同じような境遇にいたアスラクラインである加賀篝が敗北した事。しかも悪魔であるニアの姉を非在化の果て、記憶と共に消滅してしまった事。
 これにより、さらに操緒と嵩月、どちらを選ぶか、と言う三角関係がさらに切実なものに。しかも嵩月にも非在化が始まってきて……。
 さらに緊迫の様相を迎える『アスラクライン』。
 花鳥風月の鳳家の悪魔、アスラ・マキーナの量産型や、謎のアスラ・マキーナの登場。さらに物語の鍵を握る操緒の姉の存在と、まだまだ終わる気配を見せず、盛り上がりを見せるのでした。