Episode 6「TRAVELER」

 IT企業で働き。日々の仕事に追われ疲れきっていた青年・タカオ。会社帰りにバーの寄り、宇宙への妄想を抱く彼と記憶を失くす前に会った事があるというジンは再会を偲ぶ。 
 ジンは地球に侵入した謎の光球を追っていたが、光球はタカオの体に取りついてしまう。




 観逃していたけど、たまさか視聴できたので感想を。




 子供の頃は、荒唐無稽な夢を見ていても、大人になればそうはいかない。日々の効率、金銭、アルコールと現実に繋ぎとめられて、見ていた夢さえ妄想に変わる。
ウルトラセブンX』で描かれている徹底的な管理社会。それはシステム側ばかりか、人間にも徹底している。
 監視カメラで能率をチェックする会社。
 同僚と会話もせず、その上邪魔者扱い。定時になれば一目散に帰っていく社員達。なんとも殺伐とした映像が心に痛い。
 そんな息のつまる、しかし逃げ出したくても逃げ出せず、宇宙への妄想で自分を慰める生活を送っていたタカオ。
 記憶を失う前、「宇宙に関する仕事」についていたジンはそんなタカオと出会っていた。宇宙好き同士、意気投合した二人。
 二人が再会した時、それはエイリアンに取りつかれた人間と、それを排除するエージェントという形での再会だった。
 タカオの前に現れた光の魂は次々と器を変えながら宇宙を旅するエイリアンだった。自分と波長が合う人間を「器」にし、再び旅に出る。ジンや他の人間から見れば、身勝手でとんでもない話。しかしタカオにとっては、これを逃すともう二度と訪れない人生の転機でもあった。

 この命が続く限り、宇宙の深遠を目指す勇気と探究心。それこそが、知的生命として最も根源的な欲求じゃないのか!?

 どんな危険があるか、それがエイリアンに対処できるものなのか、それは誰にも分からない。しかし宇宙のロマンを追いたかったタカオは、エイリアンと共に宇宙へ旅立つ事を選択した。
 それをセブンXに変身して、見送るジンの姿がよかった。今あの時だけは、エイリアンを排除するエージェントではなく、共に宇宙のロマンを語り合った友人同士だった。
 遥か宇宙の深遠へと旅立ったタカオ。しかし、「宇宙の片隅」と例えられたバーに、もうタカオが訪れる事は無い。現実に圧殺されながらも宇宙に想いを馳せ、ついにはそこに旅立っていったタカオを見事に演じきった唐橋充氏の演技と、叙情的で切ない脚本と相まってかなりレベルの高い一作だった。
 それもそもはず、シリーズ構成の小林雄次氏が担当したエピソードで、それぞれ独立した形式である本作のストーリーにとって大きな意味を持つもの。ジンとエレアの関係性。二人に関係すると思われる「AQUA PROJECT」とは。第1話での水中の中のジンと言う演出との関係はいかに。




 ジンとタカオの二人が実質的な主役だったが、光の魂を捜索するケイとエスが、やはりいい味を出していたエピソードを追う事にエージェント達がいいキャラになっていくなぁ。