第19話「黒い訪問者」

 イリーガルに連れ去られた京子の電脳体。京子の体を抱えてイリーガルから逃げるヤサコとフミエ。京子の電脳体を取り戻すためには、黒いメタタグ「コイルタグ」が必要だが……。




 恐怖! 黒いイリーガル!
 人型イリーガル達がゆらゆらやってくる姿が下手なホラーよりも恐怖でした。
「ちょうだいちょうだい」と求める人型イリーガル達が京子に与えたリンゴ飴。京子がそれを食べる前にヤサコが止めた結果、京子がいた鳥居の階段がすべてニセモノだと言う事に気がつくキッカケに。
 これは、アダムとイブの知恵の実の暗喩とか、オタク的な視点で捉えたら面白いのかも。知恵の実を食べて楽園を追放されたのと逆に、食べたら現実には戻ってこれない。
 イマーゴが思考を現実に反映するその逆で、イマーゴを介して現実に介入する人型イリーガルの方法をそのままトレースしている様で。
 異界、彼岸などの違う世界の物語である『電脳コイル』ですが、カンナを求めるハラケンってイザナギとかオルフェウスみたいな人間なんですねー。
 いや、ハラケンの痛々しいまでの一途さ、愛らしさは(ぇ)比べるまでもありませんが。特にイザナギ




 今回はヤサコにとって一つの分かれ道で、一般人であるフミエを通してメガネを外すか、外さないか、と言う決意を決めたエピソードでした。
 それは一連のイリーガルの事件を、都市伝説としてではなく身近な現実として改めて捉えた事になります。
 今回のオジジの隠し通路に幼い頃は出入りしていた事、オジジの研究していたメガネと医療に深い関係があるならば、ヤサコはイサコやハラケン以上にイリーガルと関わっているんでしょうね。




 今回重要なアイテムだった黒いメタタグ「コイルタグ」。
 メガばあしか作れないはずが、なぜか玉子も作れていたコイルタグ。猫目の「電脳コイル」と言う言葉は、このコイルタグの肉体と電脳体を戻す効果をもっと大きくしたものなのか?
 迫る人型イリーガル包囲網。ヤサコとフミエの二人は突破できるのか?




 ヤサコに対して出番は少ないながらも、イサコがいい子です。これ以上ハラケンをメガネの事件に巻き込ませないようにするためにあえて突き放そうとするイサコ。しかしハラケンはそんな警告も無視してメガネにログインを。
 今回のようなシリアスなエピソードでも、メガネと言う高度な電子機器が存在する近未来と現実のギャップが面白いところが。黒電話では着信履歴は見れません……!




 そういえば、今週はデンスケが大活躍だった。デンスケがオジジのヤサコのために用意した特殊な電脳ペットであり、イリーガルからヤサコを守るようにプログラムされているのかもしれないが、そんな邪推は無しにしてもデンスケはかっこよかった。
 まさに忠犬の鑑。