第15話「駅向こうの少年」

 古い空間を探して駅向こうに足をのばしたヤサコ。しかしイサコと勘違いされて他校生に追いかけられてしまう。そんなヤサコを助けた少年タケル。ヤサコは彼と共に、記憶に残る階段鳥居を探すが……。




 あくまで自分の話ですが。
 小学生の頃は移動手段が自転車ぐらいしかなくて、行動範囲は狭いものでした。
 その上、小学校には「校区の外には出るな」と言う、「子どもの安全」をお題目にした(今思うと理不尽な)非行・トラブル防止ルールがあり、また自分もそういうルールを遵守するタチだったのでなおさらでした。
 それは中学生に入学するまで変わらず、校区の外なんて外国以上の未知の空間。まさにアウタースペースだったのです。




 今回のエピソードも、それに似たものがあるな、と感じました。
 大黒市はキュウちゃんが飛び回りサッチーが闊歩する、メガネユーザーに取っては遊びにくいところであるのに、駅向こうの街には行ったこともなかった。
 それはメガネと言う電脳アイテムの普及で、どれほど世界が広がっても、現実を認識するヤサコは未だ狭い世界の中に生きている。
 しかし、そんな狭い世界をどこにも無い世界に映しているメガネと古い空間。
 古い空間のバージョンのズレにより、古い空間が写しだされている。そこは誰も容易には見つけることの出来ない、ある意味広い世界。
 世界に対する安易な虚実の定義を許さない解釈の広さと、そういう事を「小学生のナワバリ意識」「電脳ペットではない生犬(本物の動物)」と言うさりげないもので魅せる凄さが『電脳コイル』なんだなぁ、と改めて実感しました。




 幼い頃のヤサコが出会った巨大な人型イリーガル。彼らは「4423」を探し、現実世界に迷いでてくるらしい。しかも、このイリーガルは通常空間でも行動可能。
 彼らが探す4423と、ヤサコの出会った少年が電脳空間(イリーガル?)に飲み込まれた事件。
 そして、ヤサコが事故で死んだカンナと同じ「イマーゴの子ども」であると知った少年タケル。彼が電話している相手は、まさかイサコ?
 新たなキャラも登場し、『電脳コイル』の後半戦がスタート!