『ロミオ×ジュリエット』第17幕「暴君〜漆黒の因縁〜」

 鉱山からネオヴェローナへ帰還する事を拒否されたロミオ達は、新たに自分達の居場所を作る事を提案する。
 ジュリエット達はティボルトと再会し、彼の出自とモンタギューの知られざる境遇を知るのだった。




 これまで謎だったティボルトとモンタギューの出自が明らかになった衝撃のエピソード。と同時に、ロミオとジュリエット、ティボルトとモンタギュー二人の対照的な生き方の対比が強烈でした。




 実はモンタギューは元々貴族ではなかった。母親は娼婦であったが、父親はキャピュレット家の人間を持つ人間だった。
 しかし、母は貧困に喘ぎながら死に、幼きモンタギューはキャピュレットへの復讐を誓う。
 モンタギュー家に取り入り(おそらく、男娼として)、キャピュレット家の娘に近づき、捨てた。
 ティボルトはモンタギューとキャピュレット両家の血を受け継ぎながら、母の敵としてモンタギューに復讐を誓っていた。
 



 うぅむ、ティボルトがジュリエットの弟説は外れたが、半分血が一緒、と言う事で勘弁してもらおう(誰に?)。
 それはともかく、対照的ながら、同じ境遇で復讐の道を往くモンタギューとティボルトの親子であった。
 今回モンタギューの境遇を知り、邪魔者を消してきたタイタスを殺したように、ティボルトも自らの境遇を知り、なおかつ復讐の道を捨てたジュリエットとまみえる日は来るのだろうか。
 暗い復讐の道を往く二人。オフィーリアからも「汚らわしい」とすら言われ、その惠は虚しく落ちる。




 しかしロミオは、鉱山の人々と新たな生活の場所を作り出そうと試み、ジュリエットは息子であるロミオを愛した故にもはやモンタギューは憎まないと決めるなど、新たに自らの進むべき道を見据えていた。
 ロミオの「新しい居場所」を作る事も、ジュリエットの愛も、先も無かった以前の逃亡生活からそれぞれが見出したものなのが興味深い。
 あの時は計画性の無い刹那的な物のように見えたが、それがしっかりと人生の糧になっている。愛する者がいるのは強い、の実例と言えるのかも知れません。




 ロミオが農夫のように農具を手にする一方で、ジュリエットは剣を取る。これからの二人の行く末は。