吉村夜『サイレント・ラヴァーズⅡ 鋼鉄の英雄』

 読書マラソン3・五十三冊目。
 以下感想。
 アンタレスに移植され、もはや人間としての未来すべてを奪われたと自覚するセツナが、アンタレスとして、何かできる事があるのではないか? と言うテーマに少しずつ気がついていくきっかけとなった一冊。
 七都市同盟を語り、無辜の一般人を虐殺し、略奪する事で七都市同盟の信頼を地に落とすカイオン軍のプロパガンタ作戦である『タイラント作戦』。
 一般人を集団で虐殺する事に悦びを感じる最悪の相手に、アンタレスの怒りが爆発する。




 それは、悪魔の姿をした人間と、人間の姿をした悪魔の戦い。
 蹂躙された村の修復を手伝い、少女に憧れの目で見られ、整備班からVGサイズのギターまで贈られたアンタレス。自分と他人の人間の温かさに触れながらも、自らの人間性を失わないアンタレス=セツナに泣いた。




 一方、アンタレス内部の仮想空間では、計画が明らかになりました。それは、仮想空間に電子化した人間の魂を収納する事でまさに楽園を創造する計画。
 アンタレスは本来、プロジェクトを守るために作られたVGだった。
 魂の電子化に対するリスク=子どもが作れないなど、今回は、明らかに「失われる未来」と言う事に重点を置いた、前回と変わらぬ重厚なドラマが展開していきます。




 次回はいよいよ大きな転換を迎えるようで、楽しみです。