第12話「ダイチ、発毛ス」

 イリーガルを探して神社の古い空間を探し回るダイチ達。しかし結局、何の成果も無いまま終わってしまう。だがその数日後、ダイチの口元ではとんでも事態が起こって……!?




 何が起こったか分からない……! このクオリティの凄さ……これが『電脳コイル』の恐ろしい所か……ッ!




 ダイチの口元にヒゲのように現れたイリーガル。しかも感染性を持つそれらは、同じく感染していた京子の仁義無きキスにより感染拡大!
 おまけに町にまで感染は広がって、サッチーに顔面を攻撃される者まで。
 しかも頼りのメガばあは、ワクチンを作る所か、顔面で文明を発達させ始めたイリーガルの会話を聞く翻訳ソフトなんかを作り出してほんとに役立たず。
 しかし、今回のメインはそんなところじゃなく。




 文明を発達させはじめたイリーガル達の会話を聞いている間に、ヤサコは翻訳ソフトの「発言ボックス」の存在に気がつき、イリーガル達と会話をはじめる。 
 姿はせずとも聞こえるヤサコの声。時にイリーガル達を助け、時に災害を予兆する。
 そのせいで、ついにヤサコは神として祭り上げられてしまった。
 しかしイリーガルは文明の発達と共にヤサコの存在を否定しはじめ文明の発達と共に全面戦争に突入していく……!




 イリーガルでさえ、文明を発達させていく事で仲間同士の不和。そして全面核戦争にまで突入していった。
 その上、フミエ達のイリーガル達との星間戦争に突入するなど、もはや人間以上の文明に突入していてもその愚かさは人類と何も変わらない。
 トメさんの旦那さんと言う「約束の地」を旅立ち、自分達の求める約束の地を求めて旅立っていったイリーガル達。
 大人の文明を手に入れたイリーガル達に対して、イリーガル本人らはあまりに幼かった。しかしそれは、現在の人類にそのまま当てはまる。
 人類が作り出した電脳アイテムから生まれたイリーガルが、そのまま人類と同じ道をそのまま歩くと皮肉、と言うある意味古典的なSFのテーマを持ち出しながらも、まったく新しい映像でそれを表現したのが、この作品の凄い所。




 ダイチの大人の象徴としてのヒゲがイリーガルの形を取り、それらがさらに大人を目指して旅に出る、と言う面白い構造でした。
 しかしそれ以外にも、ヤサコ達の「なんだってー!?」だの「お嫁にいけない!」だの「ヤサコは死んだ!」(ニーチェ?!)だの、色々書き出せないほど面白いネタはいっぱいあった。




 そして、さりげなく新校舎移転と言う伏線が張られている。古い空間を残す学校の中で、ヤサコとイサコの最終決戦が繰り広げられる日も近い。




 だが唯一の心残りは、ヒゲイサコを観る事が出来なかった事。誰か……イラストを描ける人よ、誰か! ヒゲイサコを!! ヒゲイサコを!!!