『ロミオ×ジュリエット』第12幕「安息〜このままで〜」

 境界で二人だけの結婚式を挙げたロミオとジュリエットは、廃村で新たな生活を始める。しかし娘狩りはさらにエスカレートしていき、その手は二人に確実に近づいていく……。



 ロミオとジュリエットの新婚生活の初々しさが炸裂するAパートと、親衛隊での戦いで互いに互いをかばいあう痛々しいBパートの落差に眩暈すら覚えた今回のエピソード。
 


 互いに頬を染めて、ジュリエットに、ロミオに、それぞれにはにかんだような笑顔を見せながら新しい生活を二人で歩んでいく姿は、観ていてこちらも思わず頬が緩む初々しさと幸福に満ちている。



 しかしその幸せに水を差すように、ジュリエットがエスカラスに反応する。
 これは、ジュリエット、と言うよりキャピュレット家の「血」に起因するものだろうか。となると、キャピュレット家が大公だったと言うのは、エスカラスを正しく管理する、もしくはできるのがキャピュレット家だけ、と言う事なのかも知れない。
 しかし、単純にそう決め付けるのも早計か。



 エスカラスの樹はあくまで「二本」でネオ・ヴェローナを支えるものであって、それぞれの家の家紋もそれを象徴するように対になっている。
 と言う事は、両家はエスカラスを管理できる血族ではあるが、今代において管理者の移譲がモンタギューによるキャピュレット家の虐殺と言う不正な手段で移譲されたため、エスカラスも枯れているのだろうか。
 そしてエスカラスは管理者と共に一般人からも影響を受けているため、モンタギューの悪政のせいで人心が乱れればその影響を直接受けてしまう、と考えれば一応の説明はできる。
 となるとあの老人は、オフィーリアの仲間か、もしくは以前の枯れたエスカラスの庭師なのかもしれない。



 ところで、老人から食料が差し入れられた際に、ロミオがパンを食べたのは毒見なんだろう。えらいぞロミオ、男の子だ(何気取りだ)。



 しかし幸福は長くは続かず、憲兵隊により二人は捕らえられてしまう。
 こちらが呆れるほどの無策で憲兵隊に突っこんでいく二人だが、ここはある意味、無策=「ただ二人が愛しあっている」と言う事実があればいいと言う、二人の願望が裏目に出た結果になった。
 分かってはいるが、二人の想いはことごとく打ち砕かれ、非常に辛い結果に。



 街の方でも娘狩りの嵐は吹き荒れ、大変な事に。ウィリアムのストーリーテリングも、今回は当たったような当たらなかったような。
 今は傷を癒す雌伏の時のキャピュレット家残党。
 ハーマイオニは以前の恐れ通り、「自分ならロミオを悲しませない」と黒化の気配を見せ始めている。あのマキューシオさえたじろく勢いである。もはやジュリエットとの全面対決は避けられないところだ。
 


 今回こちら側で注目すべきは、モンタギューとポーシアだ。
 ロミオとジュリエットのような「愛」が無かったが故に分かれた夫婦。それをポーシアは知っていたために、二人を逃がした事を分からないモンタギュー。
 この二人の関係は、ポーシアがモンタギューの事を「レオンティース」と名前で呼んでいる事からもかつて心を許した関係であった事が分かる。
 常に身内に何かを与えたがっているモンタギューの行動が常に空回っている様を観ると、ある意味で哀れみさえ感じてしまう。



 物語も折り返しにきたせいか、普段に比べて妙に固い感想になってしまった。
 捕らえられたロミオとジュリエットは、再び出会う事が出来るのか!? と言う事で続く!