宮村優子×磯光雄『電脳コイル1』

電脳コイル〈1〉 (トクマ・ノベルズedge)

電脳コイル〈1〉 (トクマ・ノベルズedge)

 読書マラソン3・四十一冊目。
 アニメ『電脳コイル』を下敷きにしつつ、独自のストーリーを構築している小説版。
 本当はアニメ放送前に購入していたのに、つい積んでいるうちに放送開始……。
 小説版はアニメの第1話〜第4話までに相当するので、結果的にはよかったのですが。
 以下感想。
 大筋ではアニメと同じですが、ヤサコ、イサコの過去が印象的に用いられているのが小説版の特徴です。
 


 ヤサコが大黒市に引っ越してくる前の「親友だった」タラちゃん。自分をしっかり持っていて、その後ろについていって一緒に探検したたのに、結局彼女には何も言う事ができなかった。
 また、イサコも何かを失い、何年もかけてイリーガルから《キラバグ》を手に入れ、何かを取り戻そうとしています。
 そうやって分かるのは、この作品が一人の人間を形作る「元」の部分を描いた作品である事。
 だからラストでのヤサコの
『冒険なんかじゃ私たちは変わらない』
と言う言葉と、メガばあの
『子どもに冒険をおしつけるのは大人の都合』
と言う言葉がずん、と胸に刺さります。



 アニメではヤサコに対して優位に立っているように見えるイサコですが、その実ユウコはイサコの人間とあまり触れ合っていない事から来る人間関係を読み取る事の不得意さを察するなど、精神的に優位に立っています。 
 


 アニメではどうしても難しい、ユウコ、イサコ二人の心理的な部分を深く描写しているので、こちらもオススメ。
 
 

 次巻は七月発売!