早瀬マサト『小説 仮面ライダーEVE(1) 誕生編』

小説仮面ライダーEVE〈1〉誕生篇 (KCピース)

小説仮面ライダーEVE〈1〉誕生篇 (KCピース)

読書マラソン3・三十四冊目。



特撮エース』に連載されていた作品が、単行本に。
 原作者石ノ森先生が残した遺稿を元に構成された漫画版『仮面ライダー』の正式な続編ともいえるストーリー。
 主人公・門脇純はショッカーに拉致され改造された改造人間。しかし彼がシリンダーの中でコールドスリープしている間に仮面ライダー1号によってショッカーは滅ぼされ、そのまま三十年の時が流れ、目が醒めた時には何もかも変わってしまっていた……。
 と、『浦島太郎』的な悲哀と、同時期に改造された「同朋」達がショッカー首領に再び出会うそのために事件を起こす悲劇、そんな同類達と戦わなくてはいけない辛さが表されています。



 次々と事件を起こす改造人間達を倒していくうちに、仮面ライダー2号こと一文字とも反目し、同じ「仮面ライダー」からも疑われる孤独を味わいます。
 こういうと純は悩んでばかりで感情移入しにくい主人公ですが、むしろこういうネガティブさが石ノ森作品の特徴なのではないかと。本郷猛@藤岡弘氏の「正義の味方」の印象が強くて忘れがちなんですが。
 しかしそんなネガティブさの中にも、滝が良きアニキっぷりを発揮していたり、カメレオン怪人がいい味だしていたりと、一種の清涼剤になっています。
 イラストも紺野直孝氏で、抜群の安定感です。
ラストの黒猫怪人がエロ! 紺野直孝万歳!」とか考えてしまった自分が情けなくなるくらいに(ヲイ)。



 完結編となる二巻は六月発売予定。うむ、長い(笑)。