仁木健『Add 滅びゆく機械のソナタ』

 読書マラソン3・三十一冊目。
『Add』シリーズ、いよいよ完結。
 以下感想。
 ついにジドリアの権力の頂点に昇りつめ、脳操作の技術によって「熟練の技術者の技能を平凡な子どもに与える能力」で世界の脅威となったカレル。
「心を操る禁断の技術」を阻止するため、カレル暗殺にジドリアに入国するコウ達。


 
 ある意味も何も無く、カレルとの試合に勝って勝負に負けた、と言う結末でした。
 外数員としての贖罪の道から政治の道を志したコウにとって、「心を操る技術」はこれからの世界で必要不可欠なものと認めざるを得ない。
 そしてついに、人間にも「教育以上洗脳未満」と言う思考制御がほどこされ、機械と人は同じ位置に立ち、今度は立場は逆転し、コウ達日本を含めた国が悪役的位置国家に。



 徹頭徹尾、「心を制御する事は正しい」と言う事を言い続け、安易なハッピーエンドを否定してきた作品でした。『マテリアル・クライシス』から続く伝統ですが、まさに暗黒ライトノベル的エンディング。
 まぁ、コウとアイ辺りはしっかり幸せになったのですが。
「厄介払い」なんて後書きでシャレにならない事を自分で言っていましたが、次回に期待しています。