『009-1』Mission:12「夜明け Daybreak」

 逆爆発システムは、迫害されたミュータント達の一種の精神ネットワーク。一人一人は弱くても、互いに情報を交換し合い、同時に能力を使用すれば、強力な力を発揮する事ができる。
 その力に魅せられ、世界を変えようとしたロキ。
 東西に分割され悲劇の連鎖が続く世界を多くの犠牲を持って変えようとした彼に相対し、世界は悲劇だけじゃない。安らぎや楽しさもある事を知るがためにロキの暴挙を止めようとするミレーヌ
 

 放送局の都合で一週間遅れで視聴したので、他の人の感想も見る機会も多かったのですが、男性と女性で感情移入できる部分が正反対な事が面白かったです。
 男性側から見れば、今までミレーヌは悲劇で、世界には楽しい事もあると言う言葉に根拠が無いからロキの言う言葉に説得力がある。
 女性側から見れば、やはりロキの核ミサイルを持って世界を変えようとするのは暴挙そのもの。ミレーヌの現状維持の方が現実的。
 結局、物事を「世界」とマクロな視点で見るか、「現実」とミクロな視点で見るかの違い。そしてこの場合、大きな視点で見る事が逆に現実からの逃避にしかなっていない愚かしい事なのでしょう。
 

 個人的には結局、ロキの「みんなぶっ壊してしまえ」的な考えの方に感情移入しちゃうんですが、言ってる事はミレーヌが正しい。
 現実と向き合うだけの事ができない証左。 


サイボーグ009』も「人間の脅威から人間を守る」事をテーマとした作品でしたが、ラストで流れ星となって消えていくか、終わり無き日常を生きていくのかで、大きな違いがあるますね。
「太陽を夕日と見るか夜明けと見るか」と言うミレーヌの言葉は、まさにそういう視点の違いを指摘する言葉だったんだなぁ、と感心する事しきり。
 

 今期でもダークホース的な名作でした。石森テイストがまさに21世紀クオリティで復活した感じです。
 しかし見逃したエピソードも多いので、DVDで追いかけていこうかと思います。
 石森原作のアニメ化計画はどんどん進んでいるようです。次に控えるは……え、『スカルマン』!?