『ブレイブ・ストーリー』

 もうすぐ公開も終わるので、その前にと観に行ってきました。
 だいぶ前に原作を読んだきりなので細かいところは忘れていましたが、それでも、映画ならではのダイナミックな映像に楽しめました。
 逆に、監督や脚本などのスタッフ関連はまったく予備知識無しで観に行ったのでそっちの方に驚きました。監督や脚本がアニメ寄りの人だったし、プロ声優はもとより俳優や芸人が違和感無く演技が上手かった。
 特に、ミツルに暴力をふるって返り討ちにされる石岡役が石田彰だった事には驚きました。十歳にして「運命を変えるためなら幻界なんてどうでもいい」と森を焼き人を殺して宝玉を集め、必要とあらば皇女さえ篭絡してみせるミツルの役どころから考えると、普通逆なもんですが(笑)。
 ウエンツも声も強さと弱さの両面性を兼ね備えたいい配役だったと思いますが、要所要所で「抜ける」感じが何とも(ヲイ)。
 以下ネタバレ感想。
 しかしつくづく、こういうファンタジーって「少年が運命を受け入れて少し大人になる」事に終始するんだなぁ、と思いました。
 最後の試練が黒化したもう一人の自分で、倒すのではなく受け入れる事とが肝要だったりするように、他人を排除、排斥して自己の安定をはかるのではなく、受け入れる事で人生を切り拓いていく、という。
 そしてワタルは、自分の「家族を取り戻す」という願いを叶えるのではなく「幻界の魔族を排除する」という願いを女神に叶えてもらい、幻界から魔族は一掃され、平和は取り戻される。
 でも、キ・キーマやミーナが別れの挨拶も無く別れた悲しみはどう対処するのか。魔族が女神によって一掃される前に魔族に殺されたドラゴンや一般市民は生き返らず、結局家族は元に戻らない。そういう現実を、「それも運命だから」と受け入れる事を成長と呼ぶか、欺瞞と呼ぶかで、評価が何か分かりそうな気もします。まぁ、そんな事考えてる人間もそういないでしょうが(笑)。


 だからこそ、ラストでミツルが妹と一緒に現実に甦っている事が嬉しい! もうラスト、ワタルはミツルに抱きついたね! 押し倒す勢いで抱きつくねっ! 思わず真っ暗な劇場で小さくガッツポーズ。イェスッ!