ポール・ギャリコ『ほんものの魔法使』

ほんものの魔法使 (ちくま文庫)

ほんものの魔法使 (ちくま文庫)

 読書マラソン2・四十七冊目。
 以下感想。
 世界中の魔術師(奇術師)が集まる町マジェイアに犬を連れてやってきた一人の旅人アダムは、本物の魔法使だった。種も仕掛けも用意して舞台に臨む奇術師達は、アダムが本物の魔法使いならば自分たちが飯の食い上げだとばかりに排斥する者、あくまで手品だと信じて仕掛けを盗もうとする者、と陰謀の度合いを見せる。
 その中で、両親から落ちこぼれ扱いされて泣いていた少女ジェインとの触れあいが心温まります。
 種や仕掛けがなくても、ただのあたりまえの魔法は、木々に、空に、雲に、池に、動物に、そして自分の頭の魔法の箱の中に無数にある。
「きっと、手に入れられる」。
 そんな温かい言葉がすっと胸に染み入ってくる傑作でした。