『仮面ライダーヒビキと七人の戦鬼』

 もう最悪。
 こんなWEBの片隅のブログ上で言ってもしょうがないのは分かってるけど言わせてください。お願いです。あの頃の響鬼を返して。
 井上脚本の典型作品。ぶっちゃけて言うと、見せ場の一つが去年のブレイドの映画と同じってどうだろう。あと、やっぱり「戦ってください!」のニュアンスが間違えやすい。ここらへんはアギトと一緒だ。

  • 今作も劇場版はif設定。現代では明日夢はヒビキさんの弟子になってます。しかし、オロチと戦う響鬼さんに対しては何の援護も無し。これは弟子になって日が浅いって事なんでしょうか。
  • 物語は現代から戦国時代へ。でもこの戦国時代が酷い。歌舞鬼さんが火焔大将に対して「ダイエット」だの「リバウンド」などカタカナを乱用します。周囲のセットが村なので、えらい台詞が浮いててしょうがない。そりゃぁ、トランペットとかギターとかが出てる時点で時代考証なんてあって無きが如しですが、脚本段階でどうにかなるこういう台詞回しはどうとでもなるだろうに。ケジメがついてないなぁ。

 馬鹿殿。三十話の扱いといい、脚本、威吹鬼さん扱い辛いとか思ってるんじゃなかろうか。

 普通だ! 実に普通に鬼をやっている! テンパってない轟鬼さんなんて轟鬼さんじゃない!(違)「音撃斬・雷電激震!」もしっかりやってます。今作品唯一の癒し。

  • 凍鬼さん

 ザンキさん役の松田賢二さんが演じてます。仏の道を極めるために修行して鬼になった人という設定ですが、意外とキレやすい人だったり、突然舞い戻ってきたりする変な人です。ある意味、電波というべきか。

  • 煌鬼さん

 大凧に乗ってやってきた、ちょっと外してる人。水中でくるくる回ってました。

  • 西鬼

 刀を歯で受け止めた人。この時の首を切る役人を担当したドランクドラゴンの塚地がギャグに走りすぎで泣いた。アクションは四つん這いで走りながら攻撃。これ、確かアバレンジャー辺りで見たなぁ。

  • 羽撃鬼

 鬼を引退して農民をやってた人。奥さんに励まされての復活は燃えるものがありましたが、その後あっさりと魔化魍退治から抜けたにも関わらず「女房に合わせる顔がない」と舞い戻ってきます。ここはもうちょっと尺が欲しかった。
 ゲスト鬼の中では、一番音撃武器が自然だった人。吹き矢+フルートという、音撃管の親戚みたいなやつが素敵です。

  • 歌舞鬼 

 今回一番かわいそうだった人。鬼である自分を魔化魍と同一視して見下す人間を憎むあまり、魔化魍側についた裏切り者。劇場版ブレイドでいう所のグレイブですが、ほとんど前触れ無く裏切りが明らかになった、井上脚本の被害者とでも言うべき人。

 戦国時代、ヒビキさんの弟子だったが修行中死んでしまった猛士が打った小刀が「なんだかよく分からないけど変化した」装甲声刃の力により変化した形態。
 ここの演出が映画最大の失敗したところだと思います。響鬼って作品は努力した末に強い力と心を手に入れた鬼とそれに影響を受けて成長する明日夢の話だったはずなのに、突然強化されたんじゃ作品自体のテーマを否定すしてるように思います。
 明日夢のトラウマ解消からパワーアップへつながるという事も分かるんですが、そのカタルシスよりもパワーアップの都合よさが鼻につきました。武器自体のメカメカしさも気になります。

  • よかったところ 

 OPはゲスト鬼含めた八人が全員でドコドコ太鼓叩いてます。これぞ太鼓祭り!
 鬼と魔化魍が同一視されていた時代に存在した溝による悲劇が上手く出てると思います。村人全員が鬼達に向かって「出て行け!」と石を投げるような日本の農村的雰囲気は、確かに今の響鬼ではちょっと無理だし。大量発生魔化魍も映画ならではだし。
 後は何と言ってもディスクアニマルですよ! 巨大化するしサルなんてオロチと格闘戦ですよ! この技術を復活させられれば、現代のディスクアニマル達もクグツぐらいなら倒せるようになりますよ! と言うわけでこれは本編登場希望。

 でもこれは、響鬼じゃないなぁ。井上敏樹っていう脚本家が書いたよくできた二次創作みたいでした。