ナンシー・スパーリング『さらば、ミスター・ナイスガイ』

さらば、ミスター・ナイスガイ (ヴィレッジブックス)

さらば、ミスター・ナイスガイ (ヴィレッジブックス)

 読書マラソン三十四冊目。
「いい人」という評価の人間アレックス。しかしアレックスは愛車を不良に傷つけられる、恋人を上司に寝取られる、面倒な仕事を押し付けられた上、その上司にはめられて会社をクビになってしまう。もう我慢できない! アレックスはアレグザンダーとして生まれ変わり、復讐を決意する!
 てな感じのストーリー。ちょっとこの情けなくも心優しいアレックスというキャラに感情移入しすぎてちょっと哀しくなってしまったほど。頑張れ、頑張るんだぞアレックス! と電車男を見守るスレ住人みたいな気分だったんですが、アレックスが自分で会社を興し、どんどん成功した上、セックス相手に女性に電話し、上流階級層に乗り込むために打算で結婚と、どんどん度を過ぎた方向に大暴走! なまじ「いい人」だった人間が急に変わろうとしたら、えらい事になっちゃうよというお話でした。
 とんとん拍子に出世しすぎだとは思うんですが、元々アレックス自信は才能ある有能な人材なので、まぁ、それはそれでいいのかもしれません。男性作家じゃなくて、女性作家が書いてあるというのも特徴です。これでなまじ男性作家が書いてたら、別の意味で物悲しい一作になってそうです。映画化権もニュー・ライン・フィルムって所が取得しているらしいので、もしかしたら来年ぐらいには映画になってるかも。ちょっと楽しみです。