瀬尾つかさ『宇宙をかける少女 下巻』
- 作者: 矢立肇,瀬尾つかさ,芳住和之
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2009/08/20
- メディア: 文庫
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正直な感想、エンターテインメントとしての完成度はノベライズの方は三倍ぐらい上だった。
アニメの秋葉は、事件の当事者中の当事者であると言うのに、最後まで他人事みたいな感じで終わってしまったものなあ。まあ、それはそれでリアルなのかも知れないが(苦笑)。
以下感想。
聞いた事のある単語
上巻にも登場した喋る猫・ミコト。果ては竜の翼(フェニックスエール)、暁の剣等、どこかで聞いた事のあるような単語が……!
戦う動機
何よりノベライズの素晴らしい所は、秋葉のネルヴァルと戦う動機がはっきりしている、と言う事だろう。
QTによる空間の歪みからくる崩壊から全人類を「強制的に」救済しようとするネルヴァルサイド。一方、人類の自由意思を優先しようとする神楽の志の下、自分の進むべき道を自分で決めるため、凡人として戦い抜く秋葉。
ネルヴァルとの戦いでリーダーとしての役割をひーひー言いながらそれでもやり抜く秋葉の姿は、アニメの姿からは想像も出来ない主人公っぷり!
あと、レオパルドも最低じゃないのも凄い。何か、まじめだw
ゆぴたん達の事
アニメではいきなり登場してきた宇宙人のゆぴたん。実は、そもQTを人類(と言うより神楽に)伝えたのが彼らだった、と言う事が明らかに。
彼らキューティアンは生物のQT能力を糧とする宇宙人であり、しかしQT使用の反作用とも言える空間の歪みで母星を失ったため、地球までやって来た……等等。
あの宇宙人にこんな裏設定が……ッッッ!? と驚くばかり。
絶対者・神楽
アニメのすちゃらかっぷりからは想像も出来ないのが、神楽の絶対者ぶり。
たった一人で成立する生物だの、本物の天才、カリスマと言われる通り、ノベライズ版においてすべての黒幕とすら言える存在。しかも最後には、とんでもない形で秋葉をフォローする。ある意味で、これどこの完璧超人? としか言いようのない存在だった。
厨設定なノベライズ版神楽だが、それがこんなに似合っているキャラも珍しい。
結論として
秋葉がきっちり主役を張って、なおかつエンターテインメントした『宇宙をかける少女』を望んでいた人々にはオススメ!