『ドラゴノーツ -ザ・レゾナンス-』第23話「散華 -悲しみと希望と-」

 タナトスの地球襲来に対し、ジルアード軍は暴走とも言える形での迎撃を試みる。しかしドラゴンスレイヤーを持ってしても、タナトスを倒す事は敵わず、逆に艦隊を消滅させられていく。
 一方、ギオから一日の猶予を与えられたジンは、トアとの最後の夜を過ごすのだった。



 ようやく視聴できた『ドラゴノーツ』。
 ラスト三部作と言うだけあって、巻きに巻いてる、と言うのが第一感想。各キャラクターの心情が辿った過程を描かないで、その結果とった行動だけを見せられているようで、そういう意味では微妙な三部作スタートだった。
 そのテの感想は置いておいて、以下感想。

アキラとマキナ

 先週火星から消えて「一体どうなったのか!?」と気になった二人。二人はタナトスと融合し、無数の精神の一つになったと言う。誰よりも人間とドラゴンの新たな関係性に期待していた二人の口から、「人間は不完全」だとか言われるのは凄く……複雑。
 しかし人間とレゾナンスを交わし、その結果ドラゴンが「心」を得た事を、それと同じように肯定した姿には、逆に救われたようにも感じる。
 だが「どうしてこの二人がいきなりタナトスと融合しているのだろう?」と言う素朴な疑問が残るわけで……。
 現実問題「人間がドラゴンを汚染している」と認識しているタナトスが両者と融合しようとは思わないだろう。と言う事は、タナトスの後継者となったギオがやった事、と考えた方が自然だ。
 トアをタナトスに戻して死を回避した後、孤独になるトアのためにアキラとマキナの二人を火星から連れて来た……と言う事なのかも知れない。

最後の夜

 トアとジンが過ごす最後の夜。と言っても、一年も何も無かった二人の事、そういう意味は皆無(笑)!
 二人連れ立ってウィンドウショピングしたり、トアのコスプレショーがあっただけ(ヲイ)。ジークリンデコスが似合ってないのは判るが、ジンがあんなに笑ったらジークリンデの立つ瀬が無いだろうw
 そして、最後にはウェディングドレス。二人の結びつきの、象徴であるかのような服装なだけに、その後の別れがまたキツイ。お約束ながら、『ドラゴノーツ』はこういうお約束がよく似合う。
 だが、最後の一秒まで傍にいたいというトアを、ジンはギオへと引き渡してしまう。

カズキとウィドーの終わり

 どこまでもウィドーを道具扱いするカズキ。どこまでもウィドーの人格を認めていなかったカズキだが、しかし、ウィドーの方は別だった。カズキがジンの事を「大好き」だから憎しみも大きかった、と言う事を指摘し、レゾナンスしていなかった事を悔やみながら消滅してしまう。
 あ、やっぱりカズキはジンの事大好きだったのね。と、今更と言うか、苦笑するしかないウィドーの指摘だが、ウィドーからすれば重い。
 ウィドーのパートナーは死んで想いを伝えられないのに、カズキは大好きなジンに想いを伝えるどころか逆に傷つけようとしている。しかし、喪失の痛みを知っているウィドーはカズキにそんな事実を伝えても、納得できないと言う事を知っている。 
 よって結局カズキの言いなりになっていたウィドーだが、最後の最後に、カズキに事実を伝えていった。『ドラゴノーツ』のキャラクターは、どこか欠落したキャラクターばかりだが、その中で彼女はその欠落が決して埋まらない事が確定していた哀しいキャラクターだったのかも知れない。

ジンとカズキ

 トアを失ったジン+ウィドーを失ったカズキ=殴り合い。
 ジンはカズキに対して「トアを失った俺の気持ちがお前に分かってたまるか!」と分かりやすい感情一本槍だが、カズキも負けてはいない。
 ギオの事を「ジンを守るための力そのものだった」と、ギオはジンを守ると言う理想そのものである事を吐露し、さらに「ウィドーを失くした気持ちをジンに味わって欲しくない」と、こちらもジン一本槍。
 特にカズキの「ジン大好き」オーラと、男泣きのコンボの破壊力は凄まじい。どこまでもジンはヒロインと言うか、カズキの独り相撲の恐ろしさと言うか……。
 これでカズキに対してひかないのだから、ジンの包容力(?)も対したものだ。さすが、メインヒロインなだけある。

サカキの最後

 ラウムを取り戻すため、そしてジン、カズキの二人を宇宙に飛ばすため、最後の最後で男を見せるサカキ。
 レゾナンスに対し「人間の欲望、理想の具現」「これに打ち勝つ事が成長である」と彼なりの答えを見出した上で、ラウムを愛していると、父親として素直な感情を表現したサカキ。ラウムが娘・ローラのコピーではなく、あくまでも父親として慕ってくれるラウムを娘=ローラと認めた上で愛していると言ったサカキの成長がここにある。こ、このツンデレさんめ!
 一方で不思議なのが、あそこまでサカキを父親と慕ったラウムだ。レゾナンスによってサカキの願望が表出されたとは言え、ちょっと度を越してないか? と思わないでもない。
 そこで理解の一助となるのが、タナトスはマザー=母親であると言う事。母親に利用されるだけだったラウムは、子どもを守るサカキと言う父性に出逢った事で、それに対してトアのように強い感情を持ったと言う事だったのかも知れない。
 そして、その彼女からノザキが抗タナトス因子を受け継ぎ、タナトスへの牙はまだ失われていない。

オペレーター三人娘

 つ、強ッ!? 唐突に高い戦闘能力を見せられてちょっと吃驚。一年の宇宙暮らしが彼女達を変えてしまったのか……。それにしても、キリルは気持ちよく飛ばされたなァ(笑)。

今週のジークリンデ

 第二部に入って何らかの見せ場が毎週存在するジークリンデ。今週は、何と小っちゃい男・ジンが好きだった事が判明。分かりきっていた事ながら、それが名言されると……ジンに殺意を覚えるのは何でだろう(コラ)?
 ジークリンデはいい娘だぞー。お前なんかにはもったいないんだぞーと画面越しに念を送りたくなってしまった。いや、実際送ったけれども(ヲイ)。

次回は

 ついにジンが、タナトスの下へ! ……そう言えばこれって、彼女の実家へのご挨拶(ぇー)?