『プロジェクトA』

獣拳戦隊ゲキレンジャー』からアクション映画に触れてみよう企画、第十六弾。
 今回は『プロジェクトA』。

 二十世紀初頭の英国殖民統治下の香港。我が物顔で暴れまわる海賊に手を焼いていた海軍は、ついに船まで爆破されてしまった。船を失った海軍は陸軍警察に併合されてしまう。
 海軍隊長のドラゴンはイギリス海軍の乗組員が海賊に捕まった事から香港総督に直訴し、海軍を復活させる。そして陸軍警察隊長ジャガー、泥棒フェイと共に、乗組員の救出と海賊の全員逮捕を目的とした「A計画」(プロジェクトA)を発動させる!

 ストーリーはこちら。
ゲキレンジャー』的ポイントは、ストーリーの主要キャラクターが同じく三人、と言う事でしょう。
 ジャッキー・チェンサモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウのトリオは『プロジェクトA』以外にも数々の名作を生み出した名トリオですが、実はこの作品が初共演作だったと言う意味でも記念碑的作品です。またジャッキー十周年記念作品に恥じない傑作です。
 他にはこじつけながら、ユン・ピョウ演じる陸軍警察隊長のジャガー。「クールなエリート隊長」ジャガーと言うキャラクターと「ジャガー」拳と言う部分がレツとどこかかぶります(笑)。ユン・ピョウをモチーフにしたピョン・ピョウがレツの師匠もやっているので、実は確信犯的なものだったり?




プロジェクトA』の見所は三つ。
 時計台からの落下シーン。自転車チェイス。そしてドラゴンとジャガーの友情。



  • 時計台からのジャッキーの落下シーン。 

 両手が手錠で拘束された状態から、ポールの頂上まで登り、五メートル離れた時計台へジャンプ! その時計台から二つのバルコニー・パラソル目がけて落下。その距離、なんと二十五メートル!
 パラソルの鉄骨にアバラを打ち、首から地面に落下すると言うまさに命がけのアクション。実際、ジャッキー本人が首の骨を折って死にかけたと言うから驚き。
 こんな命がけ、としか言いようがない「見せ場」が、これ以降の作品にも影響を与え、ジャッキー作品にさらなる面白さをもたらした事は言うまでもありません。



 ドラゴンを狙う敵から逃げるために、自転車を使っていたら、敵まで追ってきてカーチェイスならぬ自転車チェイスになったと言う話。
 いかにも香港! と言う狭い小道を障害物を巧みに避け、飛び、突っ走る、ジャッキーの自転車さばきに拍手喝采



 海軍と陸軍、予算から仕事。さらに明朗なドラゴンに対してクールなジャガー。立場から性格までまったく反対な二人。最初はビールがスーツにかかった事から酒場で部下を巻き込んだ大喧嘩。椅子、机、ビール瓶、生身ととことん殴りあう二人。
 しかし海軍が陸軍に併合され、ドラゴンがジャガーの部下になって初めての事件で二人の関係性が変わっていく。イギリス人の金持ちが集まるVIP施設に隠れている悪党の親玉はしかし二人の身内であるはずの警察権力を味方につけて手が出せない。そこで行くのがドラゴン! 警察手帳を投げ捨てて、警察止めて悪党を蹴り出す! そんなドラゴンの姿にジャガーの中で意識が変わり、人々を苦しめる海賊の一人を拷問して殺しそうになるドラゴンを必死になって止めるシーンにつながっていきます。しかもその時のジャガーのセリフが、
「お前を人殺しにしたくないんだ!」
 ジャガー、マジでいい男。一瞬二人のカップリングが頭をよぎったのは気のせいです。そして二人は海賊の本拠地に潜入し、見事海賊を逮捕する事に成功します。


 

 アクションでコメディを。金をかけずに命をかける、と言うジャッキー作品の中でも、トップクラスに入る傑作でした。