『Returner』

獣拳戦隊ゲキレンジャー』からアクション映画に触れてみよう企画、第九弾。
 今回は『リターナー』! 英単語でもカタカナでも、多分どっちでもいいです。
 この作品と『ゲキレン』との共通点は……ぶっちゃけ、あんまりありません。
 レンタルショップの棚の「アジアアクション」のカテゴリにあったのでレンタルしてみました。日本の作品なので、アジアと言えばアジアなのですが。
 ジャンルはカンフーアクションではなくSFガンアクション。無理矢理共通する部分を探してみると……ゲキバズーカ(違)?



 二〇八四年の地球は「ダグラ」と呼ばれる宇宙人に侵略されており、人類は絶滅の危機にさらされていた。未来を守るため、地球に侵略してきた最初のダグラを抹殺すべく、八二年の時を越えて少女ミリがやって来る。
 たまたま彼女は、闇の取引現場からブラックマネーを奪還し依頼者にその金を送り戻すプロの仕事人「リターナー」のミヤモトと出会った。
 最初はミリの話に耳を傾けなかったミヤモトだったが、首に小型爆弾を仕掛けられ、嫌々そのミッションに手を貸す。しかし、そこに一五年前、かつてのミヤモトの幼馴染を殺したチャイニーズマフィア・溝口が関わっていた……。 


 ストーリーはこちら。
 未知との遭遇であり、タイムスリップものであり、ガンアクションであり、復讐ものであり……と、とにかく色々な要素を詰め込んだ作品ですが、時間内でミヤモトとミリの出会いと別れをしっかり描いた事。タイムスリップを十二分に活かしたシナリオには高評価をつけられるレベルの高い作品です。




 しかしその映像に関しては、中々評価が別れるところかも知れません。
マトリックス』やその他のアクション、SF映画からのオマージュ的な映像が多く、「オリジナル」な映像にこだわる人から観ればあまりオリジナリティが無くて二番善じと揶揄されても仕方ないと思います。
 しかし、
金城武がロングコートをばっさばっさはためかせながら拳銃撃ちまくりーの
ここぞと言うときに袖から出した携帯電話で仕掛けてあった爆弾を爆発させーの
ソニックムーバー(装着者の体感時間を二〇倍に引き延ばせる装置)を使っての加速アクションありーのと、
「ソノテ」の映像が大好物な人には十分楽しめます。
 あとは、戦うヒロインとか。




 またこういう作品に不可欠な魅力的かつ殺されても誰からも文句が出ない最低の悪役ですが、その条件を満たしすぎているほど満たしているのが、ミヤモトの仇でもある溝口。
 人身売買のためにさらわれてきた子どもがうるさいから撃ち殺し、マフィアのボスも撃ち殺し、女であっても撃ち殺し……とひたすら他人を射殺していく鬼畜悪役。
 そのくせ宇宙人の兵器を見て
これが……パワーってやつだよ!
など子どものような面もあるなど、「力を求めて無軌道に死を撒き散らす」凶悪な印象を残す溝口でした。

 


 次からはカンフー映画に戻るって事で、今回は半ば番外編なのでした。しかし、アクション映画だけでも何なので、格闘関連の書籍なんかで変化をつけるのもいいかもしれません。
 一〇年間不敗を誇ったと言う、木村政彦の『わが柔道』とか……。って、モチーフになってねーしなぁ……。