筧昌也『美女缶』

美女缶

美女缶

 読書マラソン九十四冊目。
 以下ネタバレ感想。
世にも奇妙な物語』で作品を観て、気になっていたので購入。蓋を開けてお湯に入れて三十分待てば美女が出てきて自分の恋人になってくれるという美女缶。主人公は恋人がいるにも関わらず隣人の部屋から美女缶から盗み出して恋人を誕生させてしまう。
 この物語が悲しいところは、存在できる期限が決まっているにも関わらず、缶詰の美女にも幼少からの設定があって、美女自身は知らないという事。本人は現実世界に普通に生活しているのに、美女自身がその事を知った時、崩壊するアイデンティティ。おまけに、主人公まで缶詰の存在で、その存在期限がもう迫っていた……。
 テレビで観た時もあまりの投げた終わりっぷりに悲鳴を上げたのですが、こっちの小説もほとんど変わらないこのクオリティに凄いインパクトを受けました。