服部雄一『ひきこもりと家族トラウマ』

 読書マラソン五十八冊目。

ひきこもりと家族トラウマ (生活人新書)

ひきこもりと家族トラウマ (生活人新書)

 以下、別にネタバレじゃないけどとりあえずは
 ひきこもりは「本人の甘え」「親の甘やかし」などが原因では無く、「人間とのコミュニケーションを諦めた人」と定義し、その原因として「人間関係のトラウマ」を挙げた、自分の読んだひきこもり関連本の中ではトップクラスの一冊。
 感情の抑圧を美徳とし、役割を演じさせる事を強制する「和の文化」を真っ向から批判している事が印象的でした。こういう本は結構本人の問題だと断定されてひきこもっている理由なんて誰も問題にしません。
 前にもドキュメント番組で、ひきこもりの人間をどなりつけ殴りつけ、軍隊のような矯正施設に押し込めて他の同じひきこもりの人間と共同生活させているのがありましたが、それとは真逆に、この本の作者の治療法は辛抱強く感情的なつながりを築く事が大切になるそうです。
 問題は根強く、自分自身も日本的価値観に強く染まっている事を自覚します。ひきこもり問題に興味を持っていなくても、自分の文化的価値観について大きく価値観を揺さぶられる一冊だと思います。