『ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』

 一月に見た映画感想。
 以下ネタバレ感想。

冒頭三分

 無料公開もされている冒頭三分間。
 逃げるエメラナの視点から、ベリアル皇帝軍の圧倒的な侵略。そして颯爽と現れるミラーナイト! とテンポよく進んでいく。
 しかし一番の注目は、カイザーベリアルの攻撃シーン。あれだけ圧倒的な侵略を仕掛けておいて、皇帝本人がミラーナイトの背後から奇襲とかw
 さすが、陛下。やる事が汚い(褒め言葉)。

ゼロ&セブンVSダークロプス軍団

 突如として光の国を襲うダークロプス軍団と戦うのは、ゼロとセブン! いきなり親子タッグキター!
 児童誌で展開していた、コンビネーションとも重なってウハウハ。

ゼロ、別宇宙へ

 ゼロが撃破したダークロプスの残骸から、別宇宙からの侵略者である事が明らかに。しかし、別宇宙に戦士を送り込むには、ウルトラ戦士の全エネルギーを集めても一人だけだと言う。
 この任務に志願したのは、当然ゼロ。そりゃあ、自分そっくりの量産型ロボットが自分の故郷に侵略に来れば、ゼロは性格上黙って見ている訳も無く。
 父・セブンからウルトラゼロブレスレットと共に、その心は常に自分と共にあると言う想いを託され、ゼロは別宇宙へ。
 この際、主題歌の歌詞とゼロの旅立ちのリンクは鳥肌もの。と同時に、ゼロが別宇宙から帰還せず、自分だけの道を歩んでいく事を示唆していて、深い。

マルチバース

 宇宙は一つだけでは無く、幾つもの宇宙が並行して無数に存在している。一つの宇宙は泡のような形状であり、その壁を抜けると無数の宇宙泡が浮かぶ超空間が出現する……。と言う、多宇宙=マルチバース理論を採用した今作。
 その映像化は、まさに大成功と言えるだろう。ウルトラシリーズでは色々言われがちなCGだけれども、こればっかりはCGで無ければ描けないだろう。
 別宇宙=アナザースペースに驚愕するゼロの描写も含めて、人間的なウルトラマンを描いてきたこれまでの積み重ねがあったからこそ、マルチバースの広大無辺ぶりが一層際立つ。陳腐な言い方だが、まさに宇宙は無限。

惑星アヌーの警備隊

 レギオノイドの侵略を受ける惑星アヌー。そこで兄弟二人で警備隊を自称し、戦いを繰り広げるランとナオ。
 レギオノイドとのチェイスシーンは、陳腐ながら「和製『スターウォーズ』だなあ」等と思いながら観ていた。

ゼロとラン

 バラージの盾の欠片の導きによって、ランとナオの兄弟の下へと降り立ったゼロ。しかしこの宇宙の太陽はゼロに十分なエネルギーを供給してはくれず、あっという間にエネルギー切れに。
 そこで瀕死の重傷を負っていたランと、ゼロは一体化する事になる。
 このシーン、ゼロとランが互いに互いの目を見つめあう所が非常に印象的だった。片や光の巨人。片や小さな人間ながら、互いに互いの人格や精神をちゃんと認め合って、お互いの命を託しあっているように見えた。これなら、ゼロとランの一体化にも納得。

ゼロの成長と育ちの良さ

 前作の映画から「ゼロが成長したなー」とも、「ゼロは育ちがいいなー」とも思ったシーン。
 ランとナオの美しい兄弟愛に感銘を受けたゼロ。「君は俺が守る」と宣言するのだか、あのゼロが「美しい」だとか「俺が守る」だとか、それを口にする所にびっくり。
 ゼロが成長したとも思えたが、ヤンキー(コラ)ながら、元の育ちの良さが伺える一幕。

エメラナとジャンバード

 ティエリア! ティエリアじゃないか! と真っ先に思った自分を許して下さい(ヲイ)。
 ミラーナイトによって脱出させられたエメラナはジャンバードに転送。ジャンバードは惑星エスメラルダを逃れて惑星アヌーへ。大きなエメラル鉱石の鉱脈があった場所でひっそり隠れていた……と言う流れだろうか。
 ここでようやく、ゼロがアナザースペースにおけるベリアルの悪行を知る事に。このシーンは元より、ランと一体化して以降の演技が、まさにゼロそのもので、「役者さんスゲー!」と素直に感動した。時々、宮野ヴォイスで聴こえたくらいだ(幻聴だよ)。

グレンファイヤーとの出逢い

 バラージの盾を求め、宇宙海賊達の元へ向かうゼロ一行。
 それにしても、ゼロとグレンファイヤーの二人は、何と言うヤンキー同士の会話……(笑)。しかも会話って言うか、喧嘩って言うか、肉体言語と言うかwww 
 両方ともヤンキーには違いないけれども、ゼロは一匹狼気質。グレンファイヤーはチームを率いるヘッド気質な違いがあり。
 だがその気質の違いが、やたらタイマン気質の強いメンバー揃いのウルティメイトフォースゼロに「数の力」と言う大切なファクターを加えるのだから、巧く出来てる。

ダークゴーネ

 アイアロンに押されて、何だか影の薄かった幹部(ヲイ)。
 しかしいかにも知的な印象を受ける幹部だったのに、ジャンボットとタイマンした事は違和感があったり。この世界の巨人種族と言うのは、基本的にタイマン気質なのだろうか?

「仲間ってのは、いいもんだな」

 見事な死亡フラグ過ぎて逆に死亡フラグじゃ無かったグレンファイヤーさんでした(笑)。
 逆に、ここで死ななかった事にこそ、それこそ違和感を覚えるw

家族の思い出

 グレンファイヤーの爆発後、ランの過去の思い出を垣間見るゼロ。ランとナオの両親が和倉隊長で母親が凪て、何と言う光は絆……ッ!!

鏡の星のミラーナイト

 アナザースペース一、体育座りが似合うヒーロー、それがミラーナイト(笑)!
 冒頭三分ではあんなにかっこよかったのに、次出てきたらいきなり体育座りで大爆笑したwww
 ベリアルのウイルスに冒された自分を封印していた……と言うのは分かるが、もうちょっと、かっこいい封印の仕方が無かったのかw
 ゼロの名前を聞いた途端、暴走して暴れだすミラーナイト。これもまた、ベリアルのウイルスのせいなのだろうが、ダークロプスといいこのウイルスと言い、ベリアル、ゼロの事、嫌いすぎてるw

アイアロン

 アァイアロンソニックゥッ! もうこの必殺技名でやられた(笑)。若本さんが、相変わらずいいお仕事……!

囚われたゼロ

 鏡の星でアイアロンの攻撃を受けて意識不明になったゼロ。目覚めた所は、何とベリアルの玉座だった!
 そこで無力を嗤われながら、光の国への侵略をただただ見ている事しか出来ないゼロ。
 しっかしこの辺り、ベリアルの何と輝いている事か。こういう事をやらせたら、ベリアルの他に右に出るものはいないな(ヲイ)! 劇中においても、ようやくの善玉悪玉両巨頭の対面なだけに盛り上がる所。

反撃開始

 故郷が侵略されるのを黙って見るだけしか出来ないゼロ。そこに彼を助けに現れたのはジャンバード! 彼らの決意や勇気、自身の無力に思わず流した涙の輝きから現れたのはミラーナイト!
 彼の助けを得てウルトラゼロアイを取り戻したゼロは即座に変身し、ベリアルとの決戦に!
 冒頭三分、体育座りと言う屈辱を味わったせいか、ミラーナイトに限ってこういう見せ場が多いwww
 アークベリアル戦での鏡のトリックも含めて、ミラーナイトは予想外にオイシイ役を貰ってるなあ。

ウルトラマンゼロVSカイザーベリアル

 ついに始まるゼロとベリアルの戦い。
 前回の事件以降、成長を続けているはずのゼロを終始圧倒するベリアルが凄い!
 考えてみれば、ベリアルはウルトラの父と同期の上、レイブラッド星人の遺伝子を受け継いでレイオニクスになった事により、終始バーストモードになっているようなもの。まさに戦士としての年季の違いを、若造のゼロに見せつけている感じだった。
 強いぞベリアルクロー! 凄いぞデスシウム光線! 前回ゼロに負けたのは、きっとギガバトルナイザーに頼り過ぎていたから、きっとそう(コラ)。
 マントをひるがえしてのアクションもよかったが、あの赤マントが明らかに光の国の住人の趣味でちょっと吹いたw

ミラーナイトVSアイアロン

 またまた怖い所を魅せたミラーナイトのターン!
 これに限らず、やられたらきっちりやり返すのがミラーナイトの流儀である。ゼロとは正反対な性格と見せかけて、実は根っこは同じ性格なんだよなあ。

ジャンボットVSダークゴーネ

 何と言う現代に蘇ったジャンボットの雄姿よ……! オリジナルの姿と見比べたら、あまりの違いにちょっと衝撃。
 エメラナの、エメラル鉱石と同じ成分を持つと言う血を動力源とし、ナオのアヌー拳法をトレースし、まさに三位一体で戦うジャンボットの姿。
 ところで、ジャンボットって多分トレース無しでも自力で動けるんだろうなあ。最後のチーム結成シーンでは、まさにそうだったわけだし。きっとジャンが、落ち込むナオを励まそうとしてトレースを申し込んだろう、と脳内保管。
 そして最後にオチを担当したエメラナだったが、あれ、体重が減るって事は自分の体を削ってるって事で、結局戦いが長引けば危なかったんじゃないの……?!
 きっと犠牲になったのだ、服がな……。……そう考えると、ちょっと惜しい(ヲイコラチョットマテ)。

出現!アークベリアル

 大量のエメラル鉱石を取り込んで進化したベリアル最後の姿。その姿はまさに大怪獣。見かけは、思いっきりスペースゴジラですけれど。特に、背中w
 しかし特筆すべきは、この姿になった時、特にベリアルが追い詰められてもいない所。それどころか、逆にゼロを思いっきり圧倒しているにもかかわらず、自分からこの姿に変化したのが凄い。
 陛下、何で自分から、そんなあからさまな死亡フラグ建築してるんです……ッ!?
 そこがいわゆる、皇帝陛下(笑)の余裕ですかそうですか。

帰って来た男

 絶体絶命のゼロ達の元に帰って来た男。それがコイツ、グレンファイヤーさんだッ!
 あからさまな死亡フラグもなんのその! しかも各惑星のレジスタンスも引き連れて、ベリアル帝国軍に反撃開始!
 ゼロ、ミラーナイト、ジャンボットと、三人共タイマン気質が強い連中が揃っているだけに、集団を引き連れて行動する事が出来るグレンファイヤーはウルティメイトフォースゼロにおいても相当頼りになりそうな予感。

その名はノア

 ウルティメイトフォースゼロが四人揃い、各惑星のレジスタンスも加わって流れはゼロ達にあり! しかしゼロの体がこの宇宙に適応していないのは変わらず、無情にもカラータイマーは鳴り響き続ける。
 アークベリアルのアークデスシウム光線から惑星エスメラルダを守ろうとするも、カラータイマーの灯は消えてしまう……!
 しかしそこに、ノアの奇跡が降臨する! いや、本当の奇跡とは、自由を取り戻そうとする、このアナザースペースに生きる全ての知的生命体の祈りの力!
 そんな力をノアより授けられたゼロは、ウルィメイトゼロとなってベリアルの決戦に挑む!
 あのノアが……否、『ネクサス』の世界がここまで広がるとは、放送が終了した時には思いもしなかった。光は絆。この言葉の重みを、ただただ実感するだけである。

「これが」「俺達の」「光だッ!」

 プラズマスパークの光を掴もうとした未熟な戦士はもういない。ここにいるのは、宇宙の希望を託すに相応しいウルトラ戦士ですセブンお父さんッ!
 しかし何だ。何であの弓、丸ごと全部飛んで行くんだ。ある意味、グレンファイヤーの死亡フラグに匹敵する「これ使うの一回きり」フラグじゃないですか……ッ!
 まあ、実際にはブレスレットになっているので、そういうわけでもないのだろうけれども。

光の国の戦い

 ベリアルによって送り込まれた大量のダークロプス軍団と戦っていたウルトラ戦士達。
 その戦いも、無事、光の国の勝利と言う形で終わった様子。しかしいなかったはずのウルトラマンキングが出張って来ていると言う事は、やはり相応の激闘だった事が分かる。

結成!ウルティメイトフォースゼロ

 弟分ランと別れ、惑星エスメラルダを離れるゼロ。と、それを追って現れるグレンファイヤー、ミラーナイト、ジャンボット。
 平和になった世界に自分は不要。しかしこの宇宙には、まだまだ悪の勢力が潜んでいる……。
 ゼロはこの宇宙に新たな宇宙警備隊を作る事を提案。三人を無理矢理仲間に引き込み、ここにウルティメイトフォースゼロ結成を宣言するのだった!
 って、チーム名が完璧にゼロの思いつきじゃないですかwwwww 
「二万年早いぜ!」とか、「俺のビッグバンは〜」とかに続き、またノリだけで言ってるな、コイツ(笑)。
 しかし、ノリだけじゃないゼロの成長が分かるのもまた事実。
 ウルティメイトイージスの力を手に入れたので、次元を超えて光の国に凱旋帰還する事も出来たのに、ランやエメラナを守ると言う約束を守る為、あえて別宇宙に残って新たな宇宙警備隊を作る為邁進する。その姿は、まさに光の巨人の雄姿そのものである。

総評

 非常に楽しめた一作だった。 
 ゼロは元より、アナザースペースの人間達の活躍。ミラーナイト達ウルトティメイトフォース・ゼロの仲間達の活躍。さらにベリアル軍と、キャラクターが活き活きと立っていたし、ストーリーも和製『スターウォーズ』的なスペオペ冒険ものの雰囲気が良かった。
 今後はまた、児童誌を中心に彼らの活躍が描かれていくのだろうが、次回の映画も今から楽しみである。
 しかし贅沢を言えば、再びベリアルを登場させて欲しい! カラータイマーを破壊されては、いかなベリアルでも……と思うが、いやいやベリアルなら! あのベリアルならやってくれるッ(ヲイ)!
 再登場、勝手に期待してまああすッ!