『DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 外伝』第一話

DARKER THAN BLACK-流星の双子- 2 [DVD]

DARKER THAN BLACK-流星の双子- 2 [DVD]

 DVD『DARKER THAN BLACK -流星の双子-』第二巻に収録されている『黒の契約者』外伝第一話の感想。
 しかし、いつまで自分はDVDを買い続けるのだろう? まだまだオタクとして未熟ものとは言え、ブルーレイ導入を考えてもいいものだろうに。
 それはともかく以下ネタバレ感想。

工場内での死闘

 銀と共に、いつ終わるとも知れぬ組織との逃亡生活を続ける黒。
 本編では中々登場させる事の出来ないような、イロモノ契約者との疾走感溢れるアクションがアバン最大の見どころ!

沖縄・新婚旅行

 沖縄へとやって来た黒と銀。
 逃亡生活を続ける中、銀を守るため、他人との接触を断ち、迂闊な行動を避け、移動手段を手配する黒。しかし銀は、黒の命令を聞かず、独自の判断で動き始める。
 この銀の、黒への恋慕めいた行動が見ていて悶絶もの! 
 黒の体調を気遣いーの、手を握ろうとして握れないーの、と、もう、ドキが胸胸、きゅんきゅんものなのですよ(何その頭の悪い表現)!
 そして次第に黒も、沖縄から脱出する船を見送り、銀との一時の安楽に身を委ねていく。
 しかしその恋慕は、命令に絶対服従のはずのドールが言う事を聞かないと言う、不気味な現象の上に成り立っている事を考えると、明らかな異常事態。
 銀は観測霊を「あの子」呼ばわりし、自分で行動するばかりか、他人と会話までしてみせる。イザナミ化の現象が、確実に進み始めているシーンだった。

アンバー

 銀と束の間の安息の日々を過ごし、新婚夫婦……と言えなくとも、恋人同士めいた関係になる黒と銀。しかしその前に現れるのが、アンバーに似た女!
 声だけは川上とも子さんでは無く平松晶子さんだが、その姿だけはアンバーそっくり!
 ついついその姿に騙されて、ペースを崩す黒。そんな姿を銀に見られて慌てる様は、まさに浮気現場を見られた旦那そのものwww
 本編で散々女に酷い事をしている分、外伝ではバチがあたっているようです(笑)。

「嘘」の真実

黒「俺はお前を、一人にはしない」
銀「嘘」 

 公式サイトのPVで話題をさらった銀の衝撃的な一言。「嘘」。
 アンバーの姿をした「男」は幻覚の能力を持つ契約者・クロードであり、それを見破り、黒に警告する銀に対して言った黒のセリフを受けての言葉。
 この言葉は、外伝第一話クライマックスでの、

黒「俺を一人にしないでくれ」

 の一言でその真意がうかがい知れる。
 結局、黒は銀を守りたいわけでは無かった。本当はいつ終わるとも知れない組織との逃亡生活を生き抜く、支えを銀にしてだけ。ある意味、依存していると言ってよかった。
 黒が銀に求めているのは対等のパートナーシップでは無く、庇護し、そして帰るべき居場所としての存在。黒は銀と一緒にいても、その実、確実に一人でいるのと変わりない。
 だからこの「一人にはしない」と言う言葉に裏にあるのは、「変わらず足手まといでいてくれ」と言う残酷さ。
 銀の「嘘」と言う発言は、男の真意を的確に見抜く、女の怖さの発露と取るべきか。はたまた、女にすがらねば生きていけない男の悲しいサガとでも言うべきか。

ドールの進化

黒の契約者』と『流星の双子』をつなぐ外伝では、黒の変化。銀の変化。組織の消失など多くの謎が明かされる予感だが、外伝のテーマの一つには、「ドールの進化」があるらしい。
 契約者がドールの進化を促すとされているが、銀の変化が進化とするならば、なるほど、それはいつか、誰の手にも負えなくなる事は確実。
 何せ自発的に行動するばかりか、クロードの体をコントロールまでしてのけるのだから。これが、『流星の双子』での契約者の自殺、に変化していくのか。
 契約者は、この現代社会に適応するための一つの形と言われた。ならば銀達ドールの進化とは、ゲートに触れた人類の、ある意味正しい進化の形なのかも知れない。

一人

 かつて『黒の契約者』のクライマックスで、銀は「一人にしないで!」と黒を求めた。
 しかし外伝における黒の「一人にしないでくれ」は圧倒的に意味が違いすぎて逆に切なくなってしまう。
 銀は「一緒に生きてくれ」と言う意味で言ったはずのこの言葉。しかし黒の言葉にはどうしようもない依存の気配がつきまとっているようで。と言うか、もはやそのものと言いきってしまってもいいか。しがみつかないと、多分、黒は心が折れる
 黒が自分の言葉の意味に気がついた時には、きっともう、銀はイザナミへと進化してしまったのだろうなあ。あのやさぐれぶりも、理解できると言うものだ。

次回は

 次回予告読み黒ー!?
 このシリーズが外伝であり、黒と銀の別れの物語であると言う事を強く意識させられる。