たくま朋正『コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー』CODE 25「神の島Ⅲ -ザ・ゼロ-」(月刊『コンプエース』VOL.036)

ストーリー

 日本・ブリタニア・黒の騎士団連合軍はシャルルの操る死者の軍勢を前に膠着状態に陥る。すべての未来は、ナナリーの選択一つに委ねられる。ナナリーは、両親に言われるがまま、優しい世界を選ぶが……?

第一感想

 ついに『ナイトメア・オブ・ナナリー』もクライマックス!
『R2』で言う所の集合無意識を前にしたシャルル/マリアンヌとの最後の決戦をメインとし、ナナリーとアリス、二人の少女の友情が描かれる。
 この辺り、スザクが置き去りだったのに対し、こちらではしっかりフォローされているのが印象に残る。まぁ、あちらのスザクに超常能力まであっちゃ、ルルーシュは手も足も出ないだろうけどw
 以下感想。

0と1の対決

 ザ・デッドライズで復活した死者の軍勢を前に膠着状態に陥る戦線。スザクは撤退を進言するが、ゼロはそれを一蹴。ナナリーの状況が分かるだけに、絶対に状態を死守しなければならない、と知っているからだ。
 そして、ゼロの前に立ちふさがるのはナイト・オブ・ワン、ヴァルトシュタイン。かつて皇帝をかどわかしたブリタニアの魔女と、皇帝を守るラウンズのエース、ナイト・オブ・ワンとの因縁の戦いである。
 て、ここにきてスザクがにわかに背景に……(苦笑)。

エデンバイタル

『ナイトメア・オブ・ナナリー』最大の謎だったエデンバイタル。それは、本編で言う所の「神」であった。あくまで本編での集合無意識以外の呼び方、と言った方が正しいのかもしれない。
 エデンバイタルとは、

  • 現宇宙誕生前から存在するエネルギー・法則である。
  • 時空間のどこにでも存在し、干渉するモノである。
  • 人は古来よりこれを偶像化したり神格化したりしてきた=神と呼ばれるものと同義である。
  • 人はエデンバイタルより出でて肉体を得て、個として成立するものである。

 と、ここまでなら、単なる情報の集積するものでしか無いエデンバイタルだが、ここからがシャルル達が「神」を殺そうとする理由となる。

  • ただし、エデンバイタルにおける集合無意識とは人間の情報の蓄積したもの=過去と同義である。
  • 均一した意識エネルギーは停滞し、やがて滅びる。
  • これを防ぐために、エデンバイタルは人間を生み出し、争いを起こし、新たに過去を集積する。
  • ギアスは争いを拡大するための手段の一つ。
  • すなわち、戦いは神の御心に他ならない。

 よって、人がありのままでいられる、優しい世界を作るためには神=エデンバイタルを殺すしか無い
 と言う事らしい。
 しかし現宇宙誕生以前って、スケールがでかいにもほどがあるわっ!

シャルルとマリアンヌの作戦

 この神殺しの作戦のため、シャルルとマリアンヌは嫌な意味で夫婦の共同作業を開始する。
 まずはマリアンヌがザ・ソウルの力でエデンバイタル側でも個を維持し、そこから現実世界へワームホールを形成。→一方シャルルは、現実世界よりアーカーシャの剣でゲートを生成する。→そうやってエデンバイタルと現実をつなぐ事で、人間すべてを集合無意識下に統合し、一つとなる。
 そしてその鍵となるのが、ナナリーのワイアードギアスであった。

ワイアードギアス、ザ・ゼロ

 ナナリーが持つワイアードギアス。それがザ・ゼロ。ルルーシュとナナリーが持つ、「森羅万象を無に還す力」。それこそ、エデンバイタルと現実を分かつ壁を破壊し、ネモとの契約も無効化し、C.C.達に「死」を与える能力。
 ネモやC.C.が兄妹に近づいたのも、この能力に目をつけての事であった。
 しかしネモといたアリスは、ネモを通じてC.C.にコンタクト。「自分をナナリーのもとへ送る」ように要請する。
 シャルル、マリアンヌを裏切る事になるが、「死」こそ最大の目的であったC.C.やネモ達が送るはずも無かったが、そこはC.C.。実はシャルル達の計画が正しいとは思いきれず迷っていたがため、その保険としてアリスの存在を残していたのだった。
 ともあれば百合的なナナリーとアリスだが……。何故だろう、ルルーシュ達より男前だ(笑)。

告白

 一度はシャルル、マリアンヌの甘言に乗り、ザ・ゼロを発動したナナリー。だが、それを押しとどめたのがアリスの告白だった。
 要約すれば、本編のルルーシュと同じ「どれだけ争いや絶望に満ちていようとも、明日が欲しい!」と言う願いであった。あったが……。

私は妹を救えなかった罪悪感に苦しみながら
自分を責めながら生きてきた
個があることで争いや苦悩が生まれる
でも 同時に思いやりや愛も生み出す
明日という日はナナリーという希望をもたらしてくれた
私という個はナナリーという個を愛しているわ
この気持ちを…失いたくない

 見よ、このアリスのガチ告白ッ!
 もはや説明・解説一切不要! アリスの告白に震えろッ(ぇー)。

未来線を読むギアスの意味

 ナナリーのワイアードギアスはザ・ゼロ=全てを無に還す力であった。
 しかしナナリーがネモとの契約で手にしたギアスは、未来線を読むギアス=未来を求めたギアスであった。
 視力を失い、歩く力を失い、親友であったはずのアリスを愛して憎んだ事。それらすべてを受け入れ、ナナリーは立ち上がる。ネモとアリスのもとへと戻り、今度はザ・ゼロでアーカーシャの剣を無に還す。
 本編ルルーシュ同様、未来を求めたナナリーの選択だった。

最後に残った二人

 シャルルもマリアンヌもネモも、今度こそ本当にエデンバイタルに帰ってしまった。残ったのは、ナナリーとアリスの二人だけ……。 
 本編のような皇帝ENDが無い(はずだ)ので、このまま二人は仲良くラブラブクライスメイト同士学園に残るのか、はたまた何かする事があるのか……。
 とにかく、最後にナナリーとアリスの二人がラブラブでよかったよ、うん(ヲイ)!

次回は

 ついに『ナイトメア・オブ・ナナリー』最終話!
 そんなラストのアオリは、

 きみといつまでも――
 次号 さらばナナリー 
 ファイナル・カウントダウン!!

 ……気のせいか、『超・ナイトメア・オブ・ナナリー』になって帰ってきそうだなぁ(笑)。