フィリップ・リーヴ『略奪都市の黄金』
- 作者: フィリップリーヴ,Philip Reeve,安野玲
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/12/12
- メディア: 文庫
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以下感想。
ストーリー
古代兵器の暴走でロンドンが炎上して二年余り。トムとヘスターは飛行船乗りとして暮していた。ところが胡散臭い男・ペニーロイヤルを乗せ、移動都市アンカレジへ着陸した事から二人の運命は急転する事になる……。
ヘスター・ザ・ツンデレクイーン
今回は四部作シリーズの折り返し地点。何と言っても、ヘスターのツンデレっぷりがたまらない。
前作から二年余り。「恋人」関係となった二人だから、日本の温い寸止めラブコメとはワケが違う! 「ひかがみと膝をつける」とか、もうべっとりな関係! ひかがみってところがもう……イイね! 逆にイイね(死ネ)!
アンカレジの主・フレイアの無謀なアメリカへの旅にトムが興味を持ち、彼女とトムの関係に嫉妬したヘスターは、都市の情報をあえて他の都市に売りつけ、トムの心を取り戻そうとする、と言った恐ろしい過激な方向にトぶのがいかにも海外小説。
しかし結果として、彼女はアンカレジに定住する事に。ヴァレンタインの娘――と言う宿命からは逃れられなかったと言わんばかりに、アンカレジの汚れ仕事を請け負う役目を担う人物となった。そのお腹にトムの子どもを宿して。
海外小説で一番凄いのは、こうして普通に登場人物が母親になって、なおかつ、エピソードが続いていく事のように思う。よくも悪くも「一緒になったらそこでゴール」的な先入観がある日本の小説には中々無い要素なので面白い。
トムとヘスターを取り巻く世界も大きく動く。緑が回復しつつあるアメリカ大陸。移動都市同盟と反移動都市同盟の前面戦争が近づいていく空気。しかも反同盟側には、前作でも登場した最強の兵器ストーカーが復活している。
これらの戦争にどう二人が関わり、対決していくのか。次巻の登場はまだ先になるだろうが、楽しみに待っている。これを映像化したら、きっと面白いんだろう。誰か映像化してくれないかな?