第24話「メガネを捨てる子供たち」

 学校での事件は、「夜の学校に忍び込んでメガネ遊びをしていて階段から落ちた」事として社会的には処理された。親達は子ども達から電脳メガネを取り上げていく。
 イサコもデンスケも消え、大人達からは「手で触れるものでできている世界に戻ってこい」と言われ、すべてをまやかしだとヤサコは信じようとするが……。




 イサコ、デンスケが次々と消えていき、大人達からは「本物と偽者の区別がつかなくなる」とメガネを取り上げられる。
 本物は触る事が出来て、温かいもの。ヤサコの母も、ダイチの父も、言っている事は正しい。しかし、ヤサコの胸の痛みは目に見えないし触ることも出来ないが、本物であると信じて、ヤサコは一人金沢へと向かう。
 ヤサコが大黒市で優しい子として振舞ってきた原因であるマユミの元へ。実はマユミもイマーゴの子どもであり、それが原因で彼女がヤサコをいじめていたらしい。ヤサコはそれを「ミチコさんが怖かった」と解釈していたが、現れたマユミは「いじめていたのはヤサコ」と言い……。
 本物と偽者の境界を「体感できるもの」と定義した大人達。確かにそれは正しい。これまで恐ろしいほどの存在感を持って映像化されてきたメガネ越しの世界は、実はメガネを外してみればどこにも存在しない世界。ダイチが一本背負いのコツを何度も投げられて理解したように、自らの体を通してしか手に入れらないものは確かに存在する)余談ながら、コツの語源は「骨」。物事の本質を見抜き自分のものとする事で、安易なテクニックではない)。
 しかしヤサコは、自分の胸の痛みを信じ、メガネを手にして行動を始めた。それと同時に、ハラケンもカンナのメガネを手にして行動し始める。寝ている女からメガネを奪っていく……まったくハラケンってば、マニアックだぜ(犯罪者か)!
 ヤサコとハラケン。マユミとカンナ。大黒市と金沢市それぞれのはざま交差点で、二人の運命が交差する。




 子ども達と対照的に、陰謀渦巻く大人達(オバちゃんはまだ女子高生ですけど……)。 
 何も知らない顔を装う猫目は、その実イサコを隔離していた。タケルと二人で、カンナに警告を与える、大黒市怪奇倶楽部などを作って、キラバグ、イリーガル等の話題を誘導していたようだ。その動機は、「父の名誉」と言うが、果たして。
 しかし事ここに至っても、油断無く赤ミゼットをヤサコにつかせるその徹底ぶりには舌を巻く。恐ろしい男っ!
「4423」「22」と、未だ謎の底を見せない『電脳コイル』も、あと二回!




 嗚呼、それにしてもダイチ、素敵ーっ!